近年マウスピース矯正が登場し、歯列矯正がより身近なものとなりましたが、そもそも「歯の矯正」とはいつの時代から行われていたかご存じですか?
また、10年ほど前と今の歯列矯正にはどのような違いがあるのでしょうか。
子供の頃に銀色の矯正器具が嫌で歯列矯正を諦めていたという方も、歯列矯正の歴史やマウスピース矯正について知ることで、矯正治療をはじめてみようと思えるかもしれません。
この記事では、歯列矯正の歴史やマウスピース矯正の歴史、インビザラインと格安マウスピース矯正(LCM)の比較についてご紹介します。
歯列矯正を考えている方、マウスピース矯正に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
歯列矯正の歴史
「歯科矯正学」と呼ばれる学問として研究されている歯列矯正は、歯や顎の移動によって不正な咬み合わせを改善させる目的があります。
まずは、歯列矯正の歴史についてご紹介します。
装置での矯正がはじまったのは1700年頃から
実は、歯列矯正自体は紀元前1000年ほどから行われたとされていて、当時のローマの医師によって「乳歯が抜けた後の永久歯が不正な位置に生えていたら、指で押して正しい位置に戻すように」と言われていたとのこと。
ギリシャやエトルリアからの出土物には、歯列矯正をしていたと思われる装置もあり、さまざまな方法で歯を矯正しようと試みていたことが伺えます。
現在使用されているような金属の装置が使われ始めたのは、1700年頃からとされていて、フランスで金属の装置が作られはじめたと言われています。
1900年代に登場した「エッジワイズ法」
1900年代になると、近年歯科矯正学の父とされるエドワード・H・アングル氏によってさまざまな不正咬合が分類され、その分類においてそれぞれの治療法が確立されていきました。
エッジワイズとは、エッジが前に向いているという意味で、ブラケットにワイヤーを挿入して歯を動かしていく方法です。
現在はスタンダードエッジワイズ法、ストレートワイヤー法などさまざまな医師によりエッジワイズ法は改良されてきました。
エドワード・H・アングル氏は周囲の要望によって、矯正歯科だけを専門に教える学校を設立し、そこで学び卒業した日本人の歯科医師によってエッジワイズ法が日本に伝えられたとされています。
力をかけない「ベッグ法」
エッジワイズ法が誕生してからわずか25年で、オーストラリア出身のアメリカ在住医師であるベッグ氏によって提唱されたのが、弱い力を持続的にかけることで歯を動かすベッグ法です。
この方法は個々の歯にかかる負担が少なく、細かい歯の軸をコントロールできないという欠点がありましたが、1960年代のアメリカではベッグ法が盛んに行われていました。
しかし、ベッグ法は健康な小臼歯を抜歯するのが基本となっているため、抜歯は抵抗があると感じる患者さんも多かったそうです。
ベッグ法に刺激を受けた「バイオプログレッシブ法」
アメリカ人医師のリケッツ氏がはじめたバイオプログレッシブ法は、最初に撮影したレントゲンを分析することで矯正方法を決定するというものです。
抜歯、非抜歯はどちらが良いのかをさまざまな歯科医師が提唱していますが、バイオプログレッシブ法では、レントゲンを分析して成長に合わせて抜歯するか非抜歯で矯正するのかを決定します。
バイオプログレッシブ法は、柔らかい角ワイヤーで個々の歯に大きな力をかけずに歯をコントロールしていくというものです。
しかし、ワイヤーをベンディング(曲げる)方法を採用しているため、治療する歯科医師によって治療結果に差が出てしまうという欠点があります。
マウスピース矯正の歴史
SNSなどでも話題となっていることから「マウスピース矯正」という言葉を知っている方も多くなってきましたが、マウスピース矯正はまだ歴史が浅く、日本で発売され始めたのは2006年からとなっています。
ここからは、そんなマウスピース矯正の歴史をご紹介します。
1997年に米国で「アライン・テクノロジー社」が設立される
インビザラインシステムは、スタンフォード大学のMBA学生(経営学修士)であるジア・チシュティ氏とケルシー・ワース氏が起業した会社です。
当時ワイヤー矯正をしていたジア・チシュティ氏は、リテーナー装置であるマウスピースを装着した際に「これで歯を動かせたら」という想いからアライン・テクノロジーを立ち上げました。
専門分野である3Dコンピューター技術と矯正治療を融合し、ワイヤー矯正による歯の動きのデータを収集し数値化するなど、さまざまな専門家によってその治療方法は確立されていきます。
1999年に米国・2006年に日本でインビザラインが販売される
1998年に、米国食品医薬品局(FDA)から医療品としての認可を受けたインビザラインは、1999年から米国での販売が開始されました。その後2001年から欧州でも販売されはじめ、世界中に広まっていくのです。
日本で「アライン・テクノロジー・ジャパン株式会社」が設立されたのは2002年で、インビザラインの販売が開始されたのは2006年からとなっています。
1999年の米国での販売開始時は300名だった患者数も、2021年現在では1000万人を超え、世界100か国以上で提供されています。
2017年にLCM(格安マウスピース矯正)が誕生
アライン・テクノロジーの初期の特許が20年経って切れたことによって、2017~2018年にかけて格安マウスピース矯正が誕生しました。
インビザラインに比べて低価格でマウスピース矯正を行えるのがメリットとなりますが、症例数が少ないことや追加料金が発生してしまうことなど、デメリットもあります。
月額制で治療を開始できるものもあり「歯列矯正は高額だ」ということから治療をためらっていた方が利用を検討している傾向にあります。
しかし、前歯をメインとしたピンポイントの治療が主流となり、奥歯を含めた矯正治療が必要な場合は適応外となることもあります。
10年前のインビザラインと現在のインビザラインの違い
インビザラインは日々進化を遂げていて、2011年に新しい機能であるプレジョンカット機能とスマートフォース機能が追加されました。
プレジョンカット機能は、アライナーにあらかじめカット加工を施していることによって、加工の時間を省くことができるデザインです。
歯科医師が切り込みを入れることなく事前に加工を施すことで、何十枚ものアライナーに均一にきれいな切り込みを施すことが可能となりました。
また、スマートフォース機能は、歯牙移動の予測実現性を高めるためのフォース・システムとなっていて、アライナーに設置されたくぼみやアタッチメントが進化し、より難しい歯の移動を可能としました。
このように、インビザラインは発売から20年ほどで大きく進化しており、10年前の装置と比べても大きく変わっていることがわかります。
インビザラインと格安マウスピース矯正(LCM)の比較
インビザラインと一般的な格安マウスピース矯正(LCM)を比較すると以下のような違いがあります。
インビザライン | 一般的なLCM | |
正確性 | ・高度な治療計画を作成できる ・精度が高い |
・手作業で行われるためバラつきが生じることがある |
歯型の採取方法 | ・最初に一度歯型を取るのみ ・光学スキャナ「iTero」を用いたデジタル検査 |
・2週間~1か月に1回歯型をとる ・歯科材料を用いて歯型をとる |
来院期間 | ・2~3か月に1度 | ・2週間~1か月に1度 |
このように、インビザラインが歯科医師の治療計画を忠実に具現化できることに対して、一般的な格安マウスピース矯正(LCM)は手作業でマウスピースが作製されるため、仕上がりにバラつきが生じてしまうことがあります。
アライン・テクノロジーが保有する特許は、コンピューター・テクノロジー、ビジネスモデル、口腔内スキャン、マウスピースの製造プロセスなど幅広い分野で550件以上に及び、一般的なLCMではインビザラインの高い効果を生み出すことができません。
格安マウスピース矯正(LCM)は多くが10~60万円程度で手軽にはじめられる矯正治療といえますが、確実な結果を求めるなら格安マウスピース矯正(LCM)ではなくインビザラインを選ぶことをおすすめします。
まとめ
歯列矯正の歴史やマウスピース矯正の歴史、インビザラインと格安マウスピース矯正(LCM)の比較についてご紹介しましたが、参考になりましたか?
実は矯正治療自体は古くから行われていて、多くの医師がさまざまな治療法を確立してきたということがわかりました。
不正咬合は古代から、見た目的にも健康的にもさまざまな影響を及ぼすとされていて、現在でも矯正歯科医が研究を続け、矯正治療は日々進化しているのです。
そんな中開発されたインビザラインは、近年SNSなどでもよくみかける格安マウスピース矯正(LCM)と比較すると、技術的に信頼できるマウスピース矯正です。
精密な診断と幅広い治療法、確かな技術力で患者さまに寄り添う「末広町矯正歯科」では、インビザラインを用いたマウスピース矯正を行っています。
お悩みを解決すべく、患者さま一人ひとりに合わせた治療計画を立て、診療を行っております。
マウスピース矯正に興味があるという方は、ぜひ「末広町矯正歯科」までご相談・ご来院ください。