歯列矯正で歯並びが綺麗になったあと、時間の経過によって元に戻るのでは?という疑問を抱いている方もいるかもしれません。
矯正後の歯並びが元の位置に戻ることを「後戻り」と言いますが、せっかく揃えた歯並びがまた元に戻っては、時間やお金をかけた意味がありませんよね。
ただ、後戻りは誰にでも起こり得ることのため、歯列矯正を検討している方はリスクについて理解しておく必要があります。
今回の記事では、歯列矯正での後戻りのリスクと原因、対策について詳しく紹介していきます。
歯列矯正は後戻りのリスクはある?
歯列矯正が終わったあとの歯は、とても不安定で元の位置に戻ろうとする力が働きます。そのため、後戻りする可能性は誰にでもありますし、どの矯正方法を選んでもリスクをゼロにすることはできません。
本来、歯は骨や歯茎などの組織によって支えられているのですが、矯正装置をつけることで無理やり動かして綺麗な歯並びを作っています。矯正によって動かされた歯は、周りの組織ができて安定するまでに1~3年程度かかるといわれています。
そのため、矯正後には「保定期間」が設けられ、リテーナー等装置の装着を指示されます。このリテーナーは歯の位置をキープするために装着するのですが、新しい位置に歯が安定するまで指示どおりに装着しておかないと、ほとんどの確率で後戻りするので注意しましょう。
歯列矯正後に後戻りする原因は?
歯列矯正後に後戻りする可能性は誰にでもありますが、「そもそもなぜ後戻りするの?」と疑問に感じている方もいるかもしれません。
後戻りする原因を知っておくことで予防の意識を高めることができるので、事前に把握しておきましょう。ここでは、歯列矯正後に後戻りする代表的な原因を5つ紹介します。
リテーナー(保定装置)の装着不足
先ほども紹介したとおり、矯正治療後は「リテーナー」と呼ばれる保定装置で歯を固定します。リテーナーは移動後の歯の位置をキープするために装着するのですが、人によっては「綺麗な歯並びになったからもう装置はつけたくない」、「毎日装着するのが面倒」などの理由によって放置してしまうことがあります。
しかし、矯正後にリテーナーをつけない状態で過ごしていると、歯が元の位置に戻ろうとするのを止めることができず、かなりの確率で後戻りしてしまいます。後戻りすると再治療の費用や時間がかかることになるので、リテーナーは指示を守って必ず装着するようにしてくださいね。
リテーナー(保定装置)の不具合
リテーナーは1年や2年、場合によってはそれ以上の長い期間装着することになります。毎日同じリテーナーを使っていると、変形・劣化していくことも多いです。正常な形をしていない状態のリテーナーは、矯正後の歯並びの状態をキープすることができません。
そのため、装着しているもののリテーナーに不具合が起きている場合も、後戻りしやすくなります。なお、定期検診ではリテーナーの調整や交換などもおこなうため、自己判断で通院をやめてしまうことがないように、歯科医師の指示にしたがってくださいね。
治療計画の問題
歯列矯正では、最初に立てた治療計画に沿って治療を進めていきます。しかし、治療計画自体に問題がある場合は、いくら矯正直後の仕上がりが美しくても、後戻りしやすくなってしまいます。
たとえば、
● 本来であれば抜歯が必要なのに抜歯せずに矯正した
● 顎の形に合っていない歯並びを目指した
などの場合は、そもそも後戻りしやすい治療計画です。正しい治療計画でも、矯正後の歯は元の状態に戻ろうとしますが、無理のある治療計画であれば、さらに後戻りのリスクが高まります。
日常生活のクセ
歯ぎしりや口呼吸、舌を置く場所などの日常生活のクセによって、歯を無意識に押してしまっている方は少なくありません。
リテーナーの装着により、クセがあってもある程度後戻りを防ぐことはできますが、リテーナーを外した後にクセを続けていると歯が動く可能性があります。
ほかにも、頬杖やうつ伏せ寝など、無意識に顎や歯に負担をかけているクセがあると、後戻りしやすくなります。
部分矯正をしていた場合
部分矯正では動かす歯は一部で、「動かさない歯」は元のままの状態です。
そのため、「動かした歯」が「動かさない歯」に負担をかける形になると、押されて後戻りしやすくなります。
一部しか歯を動かさないと聞くと簡単に感じるかもしれませんが、スペースがない状態での矯正になると、歯が元の位置に戻ってしまうことがあります。このように、全体矯正に比べて部分矯正は後戻りのリスクが高い傾向にあるため、リスクを考慮したうえで治療する必要があります。
歯列矯正後に後戻りしないための対策は?
せっかく歯列矯正したのに、元の歯並びに戻ってしまっては悲しいですよね。人によって後戻りの有無や度合いはさまざまですが、矯正後の意識によって予防することは十分可能です。
ここでは、歯列矯正後の後戻りを防ぐ対策方法を3つ紹介します。ポイントをしっかりとおさえて、後戻りのリスクを最小限におさえましょう!
リテーナー(保定装置)を適切に使う
歯列矯正後に後戻りする患者さまの多くは、「リテーナーをつけていなかった」もしくは「不具合のある状態で装着していた」というものです。そのため、歯科医師の指示に従い、必ずリテーナーを正しく使いましょう。
なお、歯科医師の考え方や患者さまのお口の状態によって、どのくらいの期間リテーナーを使うかは異なります。リテーナーを装着する期間と時間の目安(一例)を以下に挙げておきますので、参考にしてください。
● 1年目:食事や歯ブラシ以外装着(20時間以上)
● 2年目以降:毎晩 就寝時
クセを意識的に改善する
日頃のクセを改善するのも、後戻りを防ぐ対策となります。無意識にやってしまっているクセを直すのは難しいものですが、目につきやすい場所にメモを貼るなど、工夫しながら改善を目指しましょう。
また、口呼吸や舌のクセによっては、口周りの筋肉や下の動きをトレーニングする「口腔筋機能療法(MFT)」を治療とあわせて取り入れることもあります。トレーニングの必要性は個人差があるので、歯科医師による判断でおこないます。
歯周病を予防する
後戻りを防ぐためには、歯を支える組織を健康に保つ必要があります。とくに歯周病は歯を支えている組織を弱めてしまうため、治療中や治療後に歯周病になると歯が安定しづらくなり、後戻りを促進してしまいます。
体質などにもよりますが、セルフケアを正しくおこなうことは歯周病の予防につながります。矯正治療中も矯正後も、毎日のブラッシングや歯間ブラシ、フロスなどを使って丁寧なセルフケアを心がけましょう。
歯列矯正後に後戻りした場合はどうする?
歯列矯正後に後戻りした場合は、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。お口の状態にあわせた再治療によって、後戻りした歯並びを改善できるようになります。
後戻りは自然に治ることがないので、放置していると、どんどん歯が元の位置に戻ってしまいます。そのため、後戻りしていると感じたら早めに受診・再治療するようにしてくださいね。
早めに対処することで、金銭面や時間、さらに心身への負担も最小限におさえることができますよ。
歯列矯正後に後戻りしたと感じた場合は当院へご相談ください!
歯列矯正後は、誰でも後戻りする可能性があるため、リテーナーの装着は欠かせません。
ただ、いくら気をつけていても後戻りすることはあるので、心配であれば早めに歯科医院に行きましょう。
当院、『末広町矯正歯科』では、患者さまのお口の状態やご希望にあわせて幅広い治療をご提案いたします。
矯正歯科専門のドクターが多数在籍しており、患者さま一人ひとりに合わせた治療計画に沿って治療を進めていきます。
また、患者さまが理解しやすい丁寧なカウンセリングを心がけており、人気のインビザライン矯正を含めて、歯列矯正に関するさまざまなお悩みに親身に対応いたします。
歯列矯正後の後戻りでお悩みの方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。