近年、無意識のうちにポカーンと口があいている、いわゆる口呼吸の方が増えているようです。子どもの頃からの癖が治らず、いまだに口呼吸のまま過ごしているという方も多いのではないでしょうか。
実は、口呼吸が歯並びに大きく影響していることをご存知ですか?
とくに出っ歯は口呼吸の影響を強く受けており、ひどい場合には歯並びだけでなく口の中全体、延いては全身の疾患にまでつながりかねません。
一口に口呼吸といっても、さまざまな原因があります。単なる癖ではない場合もあり、すでに出っ歯になってしまった場合は、歯列矯正で歯並びを整えるしかないのです。
この記事では口呼吸の原因とそれに伴う弊害、口呼吸で出っ歯になりやすい理由、出っ歯が治る歯列矯正の方法をご紹介します。
口呼吸になる原因とそれに伴う弊害
そもそも、人間の呼吸には口呼吸と鼻呼吸があります。実は、口呼吸ができるのは人間だけであり、犬などの動物は鼻呼吸しかできません。
普段の生活の中では、自分が口呼吸なのか鼻呼吸なのかを意識しながら呼吸をすることはありませんが、人間が発症する病気の7割は口呼吸が原因ともいわれているほど、さまざまな影響を受けるものなのです。
ここではまず、口呼吸になる原因とそれに伴う弊害についてご紹介します。口呼吸チェック表もご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
口呼吸になる原因
口呼吸の原因には、大きく分けると鼻に問題があるケースや、歯並びが原因のケース、口周りの筋力が不足しているケースがあります。
一つの問題によって口呼吸になっていたり、いくつかの原因が絡み合っていたりと、人それぞれです。
以下は、口呼吸になる原因をまとめたものです。
1:鼻詰まりによって口呼吸になっているケース
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻の病気は、口呼吸の原因になります。どの疾患も、鼻水やくしゃみなどで鼻の通りが悪くなり息苦しくなるため、口呼吸をしてしまうことに。
花粉症などの季節性のアレルギー疾患も、鼻詰まりでしばらく口呼吸をしている間に癖がついてしまう可能性もあります。
2:歯並びが問題のケース
歯並びが悪くて力を入れなければ口が閉じられない方は、物理的に口が閉じられず口呼吸になってしまう場合もあります。
口を閉じて顎にシワができている場合は要注意です。無理に力を入れないと口が閉じられず、無意識のときは口が開いて口呼吸になってしまいます。
3:口周りの筋力が不足しているケース
口呼吸の原因でもっとも多いのが、口周りの筋力が不足していることで口があいてしまい、口呼吸になってしまうケースです。
子どもの頃から硬いものをあまり食べた経験がない場合や、よく咬まないで食べる癖がある場合は、口周りにある口輪筋の筋力が低下して、無意識の状態で口がぽかんとあいてしまうようになります。
口呼吸に伴う弊害
口呼吸は、歯並びの悪化につながるだけでなく、口の中や全身にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
以下は、口呼吸に伴う弊害の例です。
- 唾液の量が減少して虫歯になりやすくなる
- 口の中が乾燥して口臭がキツくなる
- 出っ歯などの不正咬合になりやすい
- 顔に歪みが生じやすい
- 風邪や感染症に罹りやすい
- いびきや睡眠時無呼吸症候群が起こりやすい
とくに子どもの口呼吸は、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、気管支喘息などの原因にもなるため、親御さんは注意してあげてください。
また、大人の場合はうつ状態ややる気の欠如など、精神面にまで及ぶ可能性もあり、仕事にまで影響が出てしまうことも。
このように口呼吸は、心身の健康にまで影響を与える可能性もあるため、早急に対処する必要があるのです。
口呼吸チェック表
以下の項目に3つ以上当てはまる方は、口呼吸をしている可能性があります。
□ 気がつくと口が開いていることが多い
□ 目が覚めたとき唇の乾燥が気になる
□ 目が覚めたとき口の中のネバつきを感じる
□ 目が覚めたとき喉にタンが絡んでいる
□ 口臭が気になる
□ 歯磨きをきちんとしているのに虫歯ができやすい
□ 風邪をひきやすい
□ 鼻が詰まりやすい
□ 手荒れが気になる
□ 喉にひりつきを感じることがある
□ 前歯の色が薄茶色になっている気がする
□ 眠るときは横向き、もしくはうつ伏せ
多ければ多いほど、口呼吸の可能性は高まりますので、自覚するためにもぜひチェックしてみてください。
口呼吸で出っ歯になりやすいのはなぜ?
口呼吸は歯並びとの関連性が高く、とくに上顎前突、いわゆる出っ歯になりやすくなります。
出っ歯は、横から見たときに上の前歯が下の前歯よりも極端に前へ突出している状態です。口を閉じにくく、笑ったときに歯茎が見えやすいため、コンプレックスに感じる方も。
では、なぜ口呼吸だと出っ歯になりやすくなってしまうのでしょうか。
舌の位置が下がってしまうから
口呼吸で出っ歯になってしまう原因には、舌の位置が大きく関係しています。
本来、舌は上顎の先端に触れる「スポットポジション」という位置に収まっています。しかし、口が常にあいている口呼吸の状態が続くと、舌が正常な位置よりも下がり、上顎の成長を妨げてしまう原因に。
その結果、上顎に歯が並ぶスペースが狭くなることで歯並びが乱れ、歯が前に突出しやすくなってしまいます。
さらに、舌が下がり上顎から離れてしまうと、舌と唇の力、頬の粘膜の圧力のバランスが徐々に崩れてしまいます。すると、頬の粘膜の圧力が優位になり、歯列が内側に押されて狭くなるため、出っ歯の原因になってしまうのです。
下顎の成長に異常が生じるから
出っ歯は、下顎の発育が悪い場合にも発生します。
常に口が開いている口呼吸の状態だと、下顎が下へ下へと成長し、徐々に出っ歯になってしまいます。
また、下顎の成長が不十分だと、下顎の後ろにある咽頭の気道が押し潰されるような形になり、気道が細くなってしまうことも。そうなってしまうと、鼻呼吸では息苦しく感じるため、自然と気道が開くような口呼吸をするようになるのです。
このように、口呼吸と出っ歯は互いに影響を与え合っているため、徐々に出っ歯が進行してしまいます。
出っ歯が治る歯列矯正の方法とは
口呼吸を鼻呼吸に改善しても、なってしまった出っ歯を治せるわけではありません。
セルフケアでも出っ歯を予防することはできますが、すでに出っ歯になってしまっている場合、それを自力で治すことはできないといっていいでしょう。
そのため、出っ歯になり口元の突出が進行してしまった場合は、歯列矯正で歯並びや咬み合わせを整えることがおすすめです。
なぜなら、出っ歯を治すためにもっとも大切なことは、歯がきちんと並ぶためのスペースを確保することだからです。
出っ歯は、前歯や顎の骨自体が前方に傾いている状態であるため、原因になっている部分を内側に引っ込める必要があります。そのためのスペースを確保するためには、歯列矯正が必要なのです。
以下は、出っ歯が治るおすすめの歯列矯正の方法です。
- ワイヤー矯正:ブラケットという装置を歯に装着し、ワイヤーを通して歯を動かす方法
- 裏側矯正:歯の裏側にワイヤー矯正を行う方法
- マウスピース矯正:透明のマウスピースを装着して歯並びや咬み合わせを整える方法
軽度の出っ歯の場合は、歯列全体ではなく部分矯正で歯並びを整えられる可能性もあります。
しかし、出っ歯の症状の度合いや歯並びの状態によっては、抜歯や骨を削る処置を行わなければいけない場合も。どのように治療を行うかは、担当の歯科医師と相談し、納得のいく方法を選択しましょう。
まとめ
口呼吸の原因とそれに伴う弊害、口呼吸で出っ歯になりやすい理由、出っ歯が治る歯列矯正の方法をご紹介しました。
口呼吸は、出っ歯の原因になりやすいだけでなく、口の中や全身にまで影響を及ぼす可能性があります。さらに、出っ歯になってしまうことで、心にまで悪影響が及んでしまう方もいるため、早めに対処した方がよいでしょう。
また、すでに出っ歯になってしまっている場合は、歯列矯正で歯並びや咬み合わせを整えることをおすすめします。
出っ歯が治る歯列矯正では、ワイヤー矯正と裏側矯正、マウスピース矯正がおすすめです。歯列矯正は一般歯科でも行えますが、矯正治療を専門に扱う歯科医院で治療を受けた方が、将来歯を失うリスクを低くできるでしょう。
当院は、出っ歯などの不正咬合を整える歯列矯正を専門的に扱う「矯正歯科専門医院」です。
日本矯正歯科学会の認定医が多数在籍しているため、歯並びが整うのか不安を感じている方でも安心して治療を受けていただけます。休日診療も行っておりますので、仕事などでお忙しい方はお休みの日に受診していただけます。
出っ歯にお悩みの方は、ぜひお気軽に千代田区の矯正歯科専門・「末広町矯正歯科」までご相談ください。