過剰歯とは、その名の通り過剰に生えてきた歯です。
発生原因についてはよくわかっていませんが、永久歯ができてくる際に、おまけのように通常よりも小さい歯のようなものが発生する方もいます。ほとんどの過剰歯は、上顎の前歯の間に発生しますが、稀に下顎にできることもあるようです。
下顎に過剰歯ができた場合、上顎のようにすきっ歯になる、前歯が生えてこないなどのわかりやすい症状がないため、大人になるまで過剰歯の存在に気づかない方もいます。しかし、下顎の歯並びがガタガタしているなどの場合は、過剰歯の可能性もありますので、一度歯科医院へ相談に行ってみるとよいでしょう。
過剰歯の治療は、基本的には抜歯を行い、必要であればその後歯列矯正で歯並びを整えます。下顎の場合もそのように治療を行いますが、過剰歯の位置や向きによっては、そのまま経過をみることも。ただし、中には大人になってから抜歯が必要になるケースもあるため、担当の歯科医師によく確認することをおすすめします。
この記事では、下顎の過剰歯を大人になってから抜歯するケースやよくみられる箇所などについて解説し、下顎の過剰歯を発見する方法を3つご紹介します。
下顎の過剰歯について
一般的に、過剰歯は上顎の前歯の間にできることがほとんどです。しかし中には、下顎にできる方もいて、口の中に異常があっても過剰歯が原因だと気づいていないケースもあります。
では、下顎の過剰歯を大人になってから抜歯するのは、どのようなケースなのでしょうか。ここでは下顎の過剰歯を大人になってから抜歯するケースとよくみられる箇所や形、病変についてご紹介します。
下顎の過剰歯を大人になってから抜歯するケースとは
過剰歯は、大人になってから抜歯を行うと手術の難易度が上がるため、子どものうちに対処してしまうことがほとんどです。しかし、見つかったときの検査で永久歯の歯並びに影響しないと判断された過剰歯は、抜歯をせずにそのまま経過観察をすることも多くあります。
きちんと経過観察を行ったものの、大人になってから過剰歯の部分が感染を起こしたり、義歯を入れる際の障害となったりするような場合は、不都合が出た時点で抜歯を行うこともあります。
他にも、歯列矯正を行う際に歯の移動を妨げる場合には、大人になってから抜歯することもあるでしょう。近年、大人でも歯列矯正を行う方が増えており、矯正前の精密検査で過剰歯の存在に気づくこともあるようです。
下顎で過剰歯がよくみられる箇所
下顎の過剰歯は、歯並びや咬み合わせの悪さなどが原因で歯科医院を受診した際に、レントゲン写真などで発見されることが多いです。
上述したように、過剰歯のほとんどは上顎の前歯の間に発生します。そもそも下顎に過剰歯ができるケースは少ないですが、その中でもっとも多いのは、前から4〜5番目の第一小臼歯と第二小臼歯の部分です。
症例数は少ないものの、複数の過剰歯ができるケースもあります。また、歯茎の外側に生えるケースも。この場合は患者さん本人も気付きやすいため、歯科医院へ相談するケースがほとんどです。
過剰歯によくある形
過剰歯によくある形はなにか、ご存知ですか?
実は過剰歯の形は、正常な歯に近いものもあれば、歯が退化したような矮小なもの、いびつな形をしたものなど人それぞれ異なります。
上顎の場合は、歯の形が円錐状や栓状のものが多く、下顎にもそのような形状のものが多くみられます。下顎の小臼歯が過剰歯のケースでは、それに加えて蕾状のものがみられることも。
蕾状歯は、その名の通り歯の頭がつぼみのような形をしている矮小歯のことです。一般的には親知らずに発生したもののことをいいますが、過剰歯の形が矮小なケースでもみられることがあります。
下顎の過剰歯でよくみられる病変
一般的に、過剰歯は歯並びや咬み合わせを悪くしたり、他の永久歯の萌出を阻害したりするなどのデメリットがあります。
下顎の過剰歯でとくによくみられるのは、含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)です。
含歯性嚢胞とは、内部に液体をためた袋状のできものの一種で、埋もれた状態にある過剰歯(埋伏過剰歯)の歯の頭を覆うように生じる嚢胞のことを指します。
嚢胞が大きくなってしまうと、永久歯の根っこを溶かしてしまうことも。長期間放置してしまうと、永久歯が抜けやすくなるため、注意が必要です。
また、大人になるまで下顎の過剰歯の存在に気づいておらず、嚢胞ができている場合には、虫歯になったり歯周病になったりしたときに歯茎が大きく腫れることもあるでしょう。
下顎の過剰歯を発見する3つの方法
過剰歯が上顎にできている場合は、すきっ歯になったり上の前歯が生えてこなかったりと目立つ症状が現れることも多く、異常を感じて歯科医院を受診する方も多いです。
しかし下顎の場合は、小臼歯にできることが多いため、歯がおかしなところに生えてきたなどの症状がない限り、なかなか受診する機会がないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
上記でご紹介したように、下顎の過剰歯も口の中にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があるので、できるだけ早めに適切な治療を受けるべきです。
そこでここでは、下顎の過剰歯を発見する3つの方法をご紹介します。
家族に過剰歯がある方がいるか確認する
実は、過剰歯ができる原因はいまだにはっきりしていません。遺伝的なものや外傷によって歯の芽が過剰に作られたためにできた、1つの歯が分裂してできたなど、さまざまな説があります。
しかし鶴見大学歯学部附属病院小児歯科外来にて、過剰歯摘出を行った患者さんに対して行われたアンケートでは、以下のような結果が得られたことから、過剰歯には遺伝要因が関与している可能性があることもわかっています。
親に過剰歯がある場合
- 子どもに過剰歯がある割合は77.8%
- 子どもに過剰歯がない割合は22.2%
親に過剰歯がない場合
- 子どもに過剰歯がある割合は42.1%
- 子どもに過剰歯がない割合は57.9%
上記のことから、過剰歯があるかどうか検査する前に親御さんや兄弟姉妹、親戚などに過剰歯があった方がいないか確認してみるとよいでしょう。
過剰歯への遺伝の関与について、詳しい結果が知りたい方は、こちらをご覧ください。
→過剰歯出現に対する遺伝要因の関与ー特にアンケート調査結果についてー
永久歯の生え方をチェックする
乳歯の過剰歯は非常にめずらしく、ほとんどが永久歯で発生します。
子どもの歯が抜けたのになかなか永久歯が生えてこない場合には、歯茎の中で過剰歯が正常な永久歯の萌出を阻害しているケースも多くあります。
上顎の前歯に過剰歯があり、永久歯が生えてこないと目立つため、気になって歯科医院へ相談される方も多いです。しかし、下顎の小臼歯が正常な本数生えてきているかどうかはわかりにくいケースもあり、隙間が気になっているにもかかわらずなかなか受診されない方もいます。
また、下顎に過剰歯がある場合、正常な永久歯が過剰歯によって押されてしまい、下顎の歯並び全体が乱れてしまうことも。歯並びがガタガタの状態のことを、専門的には「叢生(そうせい)」と呼びますが、そのような歯並びの場合は下顎に過剰歯が埋伏している可能性もありますので、早めに歯科医院に相談してみましょう。
歯科医院で定期検診を受ける
過剰歯は、早期発見早期治療が非常に大切です。
早期に抜歯した方が口の中に問題が起こりにくいため、できれば6歳前後にはきちんとした診断を受けて抜歯の手術を受けることが望ましいです。
そのためにも、乳歯期のうちから歯科医院で定期検診を受ける習慣をつけておくとよいでしょう。歯科医院では歯科医師が口の中を観察、歯磨き指導を行い、必要があると判断された場合にはレントゲン撮影などを行います。
幼い頃から歯科医院へ通うことで、処置への恐怖心を無くしたり、歯並びの変化などに気づいてもらえたりとメリットも多いので、定期的に歯科検診を受けた方がよいでしょう。
また、過剰歯の可能性がある場合は、矯正歯科専門医院を受診するのがおすすめです。なぜなら、矯正歯科専門医院には歯並びや咬み合わせに詳しい歯科医師がいるからです。
過剰歯では、抜歯後に歯列矯正が必要になるケースもあります。抜歯も行っている、もしくは口腔外科と提携している矯正歯科専門医院であれば、治療もスムーズに受けられるでしょう。
まとめ
下顎の過剰歯を大人になってから抜歯するケースやよくみられる箇所などについて解説し、下顎の過剰歯を発見する方法を3つご紹介しました。
下顎の過剰歯は、上顎の前歯の真ん中の次に多い症例です。下顎は上顎に比べて歯並びが多少悪くても気づかなかったり、気になっていても歯科医院へ行かなかったりと、見逃してしまいがちです。しかし、そのまま放置してしまうと嚢胞の原因となってしまうこともあるほか、永久歯が抜けやすくなってしまう恐れもあるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
下顎に過剰歯があるかもしれないと不安を感じている方や、すでに歯科医院で過剰歯を指摘された方は、ぜひ参考になさってください。
当院は、日本矯正歯科学会の認定医が多数在籍する矯正歯科専門医院です。さまざまな症例に対応できるよう、矯正装置の種類も多数揃えて患者様をお待ちしております。
当院から歩いてすぐのところにある「秋葉原総合歯科クリニック」(本院)と提携しているため、抜歯や虫歯治療、ホワイトニングなどにも対応できます。
過剰歯の可能性がある方は、ぜひ一度お気軽に「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」までご相談ください。