咬み合わせとは、上下の歯の接触状態のことです。
日本人のおよそ8割は咬み合わせが悪いというデータもありますが、自分の咬み合わせが良いのかについては、考えたこともない親御さんも多いのではないでしょうか。
良い咬み合わせとは、単純に前歯が綺麗に並んでいるだけでなく、左右の上下奥歯までしっかりと咬み合っている状態です。上下の歯の接触が良く咬み合う力のバランスが取れていると、歯や骨、顎関節への影響が少なく、歯並びが悪くなることも少なくなります。
子供の場合はとくに、自分の咬み合わせが良くないことや咬みにくいことに気づきません。また、成長期の子どもは顎の骨がやわらかく、弱い力を加え続けると動いてしまうので、親御さんが注意して見守ってあげる必要があります。
この記事では、子供の咬み合わせが悪くなる3つの理由と治療法をご紹介します。
正しい咬み合わせで咬むことの大切さとは
正しい咬み合わせで噛むことは、食べる以外にも大切な役割がたくさんあることをご存知ですか?
よく知られているのは、咬むという動作が子供の運動能力や脳の発達を促進することです。子供の体の発育や機能維持増進にもかかわってくるため、正しい咬み合わせで左右均等によく咬むことは心身の成長や健康増進につながります。
また、咬むという動作は、上下の顎や顔面の骨の成長にも非常に重要な役割を果たしています。骨が成長するうえで、外からの影響が大きいこともわかっており、咬むときの力の強さや力のかかり方によって顔の形まで変わってしまうのです。
子供を正しい咬み合わせに導くためにも、現在の歯並びと上下の咬み合わせをしっかりと把握し、悪くなる要素がある場合はできるだけ早めに対処していくようにしましょう。
子供の咬み合わせが悪くなる3つの理由
「子供の咬み合わせが多少悪くても、そこまで気にする必要ないのでは?」と思っていませんか?上述した通り、子供の咬み合わせが悪くなると心身の発育や顔の形にまで影響を及ぼす可能性があります。
咬み合わせが悪くなる理由は、遺伝などの先天的な問題だけではありません。たとえ親や親戚の咬み合わせに異常がなくても、子供の咬み合わせが悪くなる可能性は十分あるので注意が必要です。
ここではまず、子供の咬み合わせが悪くなる3つの理由をご紹介します。
先天的な問題
子供の咬み合わせが悪くなる理由としてまず挙げられるのが、親からの骨格的な遺伝によるものです。親の顔に子供の顔が似るのと同じように、咬み合わせや歯並びも遺伝するといわれています。
つまり、親御さんの咬み合わせが悪ければ、子供も同じように咬み合わせが悪くなる可能性もあるということです。
また、もともと永久歯の数が少ない「先天性欠損歯」や、永久歯が骨や歯茎の中に埋まったままの状態になる「埋伏歯」の場合も、咬み合う歯がないため力のかかり方が均一でなくなってしまいます。
そして、歯が足りない状態が長期間続くと、両隣の歯が空いているスペースに向かって倒れてきたり咬み合う歯が伸びてきたりして、徐々に咬み合わせが悪くなってしまうのです。
乳歯の虫歯
乳歯の虫歯は、子供の咬み合わせが悪くなる原因の一つです。
そもそも乳歯は、永久歯よりも歯の質が弱く、厚さも2分の1くらいしかありません。そのため虫歯になりやすく、進行も早いです。
虫歯によって痛みが出ている場合は、咬むときに歯が痛む場所を避けて反対側の歯でばかり咬むようになるので、顎や筋肉の発達にまで悪影響を与え、咬み合わせが悪くなってしまう可能性もあります。
また、乳歯の虫歯はどうせ抜ける歯だからと放置されがちです。虫歯で乳歯が早く抜けてしまうと、永久歯が生えるスペースも足りなくなってしまいます。すると歯並びが悪くなり、徐々に咬み合わせまで悪くなってしまいます。
しかも、乳歯の虫歯は永久歯にまで影響を与えることがあるので注意が必要です。乳歯の根っこのすぐ下には、これから生えてくる永久歯が控えているため、たとえ抜ける歯であろうとも放置してはいけません。
これから数十年使うことになるはずの永久歯に影響が及べば咬み合わせにまで悪影響が出てしまうので注意が必要です。
日常の悪習慣
子供が日常の中で無意識に行っている習慣が、咬み合わせを悪くしている原因かもしれません。
たとえば、子供の指しゃぶりを改善するように歯科医師から指摘されたことはありませんか?実は、指しゃぶりなどの子供にありがちな習慣は、咬み合わせを悪くする原因の一つです。
以下のような習慣は、子供の咬み合わせに影響する可能性がります。
- 指しゃぶり
- 前歯の裏を舌で押し出す癖
- 唇を咬む癖
- 頬杖をつく
- うつ伏せ寝
- 歯ぎしり
- 食いしばり
これらはすべて、咬み合わせに影響を及ぼす悪習慣です。
このほかにも、食事の際に硬い食べ物を食べずにやわらかいものばかりを食べたり、飲み物で流し込むように食べたりする食べ方や、常に同じ側の歯でばかり咬む食べ方も顎の発育を遅れさせる原因となります。
子供の咬み合わせを治すための治療法
日本の子供は、10人に9人は顎が小さいために噛み合わせや歯並びになんらかの問題を抱えているといわれています。子供の頃から咬み合わせにズレがあると、永久歯に生え変わったときに歯列がズレてしまいます。
このズレは徐々に大きくなり、顎関節症などの原因にもなるため、早めに治療を受けることが大切です。
ここでは、子供の咬み合わせを治すための治療法をご紹介します。
マウスピース型矯装置(インビザラインファースト)
マウスピース型矯正装置は、乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に使用する咬み合わせ治療の方法です。
歯の生え変わり期にマウスピースを装着するだけで、顎の骨の成長を誘導する治療と歯並びを整える治療の両方を行えるので、永久歯に生え変わってから治療を受ける必要がありません。顎の骨が成長する時期に、骨の成長をコントロールすることで、咬み合わせを簡単に合わせられるようになっています。
また、マウスピースを装着するため、指しゃぶりや舌で歯を押し出す癖などの悪習慣を防げるのもマウスピース型矯正装置・インビザラインファーストの特徴です。
装置は透明で薄いプラスチックで作られているので、矯正治療を行っていることがほとんどわからないほど自然です。
食事や歯磨きの際には取り外しが自由にできる点も、子供のストレスを溜めずに治療ができるポイントではないでしょうか。そのうえ、スポーツや楽器の演奏も普段通りに行えるので、日常生活に支障が出ることもありません。
口腔筋機能療法(MFT)
子供の咬み合わせを治すためには、咬み合わせを育てていくという考え方が大切です。
咬み合わせや歯並び、顎の骨格というのは、口周辺の筋肉がどの程度機能するかでも変わってきます。つまり、口周辺の筋肉をしっかりと鍛えることで、咬み合わせを整えられる可能性があるということになります。
口腔筋機能療法は、口周辺の筋肉を正常に機能させるための訓練であり、咬み合わせの治療を成功させるには欠かせないものなのです。
口腔筋機能療法では、以下のようなトレーニングを行います。
- 舌の正しい位置や嚥下(えんげ)の仕方を覚えるトレーニング
- 頬や唇、口周辺の筋力を強化するトレーニング
- 咬む、発音する、鼻呼吸を正常に行うためのトレーニング
これらのトレーニングを、通院時に歯科医院で行うだけでなく自宅でも毎日行い、口周辺の筋肉をバランス良く強化していきます。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、主に12歳以降で永久歯が生え揃ってから行う治療です。ブラケットという装置とワイヤーを装着して、永久歯の咬み合わせや歯並びをしっかりと整えていきます。
混合歯列期に治療を行わなかった場合や、引き続き治療が必要な場合に行うことになります。基本的に使用する装置は大人の矯正治療と同じものです。
矯正治療の中ではもっともオーソドックスであり歴史のある治療法ですが、装置の見た目が目立つことから、思春期に差し掛かる子供にとっては少しハードルが高い方法でもあります。
しかし近年、白色や透明のブラケットとワイヤーを使用することで、矯正をしていることが目立たないような装置もあるので、歯科医院で相談してみるとよいでしょう。
まとめ
子供の咬み合わせが悪くなる3つの理由と治療法をご紹介しました。
咬み合わせの悪さは、子供自身では気づきません。また、多くの親御さんも普通に食事をしているから問題ないだろうと見逃してしまいがちです。
咬み合わせの悪さに気づいて歯科医院へ相談に行く親御さんのほとんどは、見た目だけを気にされています。しかし実は、見た目だけの問題ではなく、さまざまな不調の原因にもなる症状なのです。
将来子供が食事を美味しく食べ、健康に過ごすためにも、咬み合わせに違和感を覚えたら、早めに歯医者へ相談に行くようにしましょう。
当院では、お子様の永久歯がしっかりと咬み合うように、さまざまな治療方法を用いて治療を行います。お子様の歯を矯正するためには、長期間かかってしまうことも多いです。
お子様だけでなく親御様とも長いおつき合いになるからこそ、治療の事前説明を重視し、丁寧にわかりやすい説明を心がけております。
お子様の咬み合わせが気になる親御様は、ぜひ一度「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」までご相談ください。