見た目を改善する他に、口の中と身体の健康にも有効な歯列矯正。最近では、子どもだけでなく、大人の方々の間でも当たり前に行われるようになってきました。
矯正器具を装着して過ごすことは、仕事の内容によっては負担になってしまう場合もあります。しかし最近では、透明の矯正装置や歯の裏側に装着する裏側矯正、透明のマウスピースを使用するマウスピース矯正などさまざまな装置が登場しており、目立たせずに歯並びを整えられるようになっています。
ただ、矯正治療中は避けた方がよい食べ物があったり、装置による痛みがあったりして思うように食事が摂れないことも。そのような場合、栄養補助食品やサプリメントなどで補う方も多いですが、最近の筋トレブームもあってか、プロテインを飲んでいるという方も多いようです。
プロテインは、矯正中におすすめしたい飲み物です。治療中に不足しがちなタンパク質を補ってくれます。しかし、いくらプロテインが歯や口の中、体全体によいものだといっても、飲み方には注意しなければいけません。
そこでこの記事では、矯正中にプロテインがおすすめの理由と、飲む際の注意点についてご紹介します。
矯正中にプロテインがおすすめの理由
「装置が痛くて食べられない」「ゼリーやヨーグルトばかり食べていたら痩せてしまった」
歯列矯正をすると、痛みで食べ物を咬めなかったり、ゼリーやヨーグルトなどの歯に負担のかからないものばかり食べるようになったりするため、痩せてしまうこともあるようです。しかしそのような食生活は栄養の不足を招き、口の中だけでなく全身の不調に繋がってしまうことも。
プロテインは、そんな矯正治療中に不足しがちなタンパク質の補強におすすめです。ここでは、矯正中にプロテインがおすすめの理由を3つご紹介します。
歯の土台はタンパク質が主成分だから
歯は、骨や筋肉の一部です。
骨はカルシウムでできていると思われている方も多いですが、実はタンパク質から作られているコラーゲン繊維が骨の約50%を占めており、このコラーゲン繊維にカルシウムやリンなどのミネラルが付着することによって、丈夫な骨が作られています。
つまり、歯の土台もタンパク質が主成分であり、健康な歯を作るにはタンパク質が必要不可欠だということです。
歯列矯正は、弱い力を持続的にかけることで歯を少しずつ動かしていきます。歯を支えている歯槽膜や歯槽骨はほとんどがコラーゲン線維で作られており、活発に代謝して歯を動かしているのです。
歯列矯正中は、通常の状態よりも歯の土台の代謝が活発になり、いつも以上にタンパク質が消費されます。プロテインで良質のタンパク質を摂取することで、矯正治療をよりスムーズに進められるでしょう。
痛みがあるときでも摂取しやすいから
矯正中は、歯が動くときや装置が粘膜に当たっているときに痛みを感じやすいです。
とくに矯正装置を装着したばかりの時期は、食事中の違和感が気になって、ろくに食べられないこともあります。また、矯正装置の種類によっては、硬い食べ物を食べると外れてしまう恐れも。そのため、意識的にやわらかいものや水分の多いものを選ぶことが多いようです。
プロテインは、パウダー状のものを水や牛乳などに溶かして飲むタイプやドリンクタイプ、お菓子のようなバー状のタイプなど、さまざまなものがあります。
その中でも、パウダータイプやドリンクタイプは、矯正中で痛みがあるときでも摂取しやすく、不足しがちなタンパク質を効率よく補ってくれるでしょう。
矯正中は栄養が不足しがちだから
矯正中は装置に食べ物が引っかかることや痛みへの不安、歯磨きの手間などから、通常よりも食事量が減ったり、メニューが偏ったりしがちです。
そのため、いつも以上に口内炎ができやすくなったり、免疫力の低下により風邪をひきやすくなったりします。とくにタンパク質は、歯や骨だけでなく臓器や毛髪、血液など体全体を構成するもっとも大切な栄養素であり、エネルギーにもなる重要な役割を担っています。
歯やその周りの組織は、傷を治す能力が非常に高い反面、栄養不足による影響を極めて受けやすい部分です。外科的な処置を行うこともある歯列矯正では、スムーズに傷を治すことは非常に重要です。
プロテインを上手に利用して、不足しがちなタンパク質を美味しく摂取するようにしましょう。
矯正中にプロテインを飲む際の注意点
タンパク質は肉や魚、大豆製品、卵、乳製品などに含まれているので、通常の食事ができる状態であれば摂取することはそれほど難しくありません。
しかし歯の矯正中は、硬い食べ物が食べられなかったり食欲が湧かなかったりするため、栄養を補うためにプロテインを上手に利用するのがおすすめです。
ただし、矯正中にプロテインを飲む際は、これからご紹介する3つのことに注意して飲むようにしましょう。
飲んだ後は歯磨きをする
市販されているプロテインは、炭水化物(糖分)が含まれていたり、飲みやすくするためにタンパク質以外に甘味料などを含んだりしているものがほとんどです。
矯正中は、装置をつけることでただでさえ食べカスや汚れが溜まりやすく、歯ブラシも届きにくくなります。当然虫歯のリスクも高くなりますので、プロテインを飲んだ後は丁寧な歯磨きが重要です。
上述したように歯ブラシが届きにくい箇所もありますので、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシを併用し、虫歯の原因を残さないように気をつけましょう。
また、ダラダラと水やお茶と同じように飲むのもおすすめできません。プロテインを飲む際は、1日に1〜2回程度、短時間で飲むことをおすすめします。
とくにマウスピース矯正は、プロテインを飲んだ後歯磨きせずに装置を装着してしまうと、マウスピースと歯の間に糖分がくっつき、虫歯のリスクがさらに高まってしまいます。虫歯になると治療をスムーズに進められなくなる原因になりますので、必ず歯磨きをするようにしましょう。
適正量を守る
矯正中は、食事だけで十分な量のタンパク質を摂取するのは難しい場合もあります。そのような場合はプロテインで補うことをおすすめしますが、タンパク質は摂取量が多ければ多いほどよいというわけではありません。
日本では、食事によってタンパク質を摂取する場合の上限は決められていませんが、プロテインで摂取する場合は、適正量を超えてしまうと以下のようなデメリットがあるので注意が必要です。
- 肝臓で脂肪に変換されて体脂肪になる
- 尿素として尿中に排出される
- 腎結石のリスクが高まる
肝臓や腎臓は、タンパク質を分解する臓器です。摂取量が多すぎると分解が追いつかず、肝臓や腎臓への負担が大きくなることも。矯正中にプロテインを摂取する際は、適正量を守るように気をつけましょう。
また、プロテインは体質との相性も重要です。牛乳由来のホエイプロテインは、吸収スピードは速いもののお腹が緩くなってしまう方もいたり、大豆由来のソイプロテインは脂質が低い反面、吸収スピードは遅かったりなどそれぞれに特徴があります。
体質に合ったプロテインを適正量飲んで、上手にタンパク質を摂取するようにしましょう。
食事の栄養バランスに気をつける
市販のプロテインには、タンパク質の他にもビタミンやミネラル、カルシウム、鉄などのさまざまな栄養素が含まれています。しかも、食事で摂取する場合と比較すると、体内への吸収スピードが速いというメリットも。
矯正治療中は、食べられないものや食べにくいものが多くなります。食事の栄養バランスも乱れがちになるため、プロテインを活用することをおすすめします。
しかし、プロテインのみで人間に必要なすべての栄養素を補うことはできません。以下のような食品を積極的に摂取するように心がけましょう。
- 卵
- 海苔
- 鮭や白身の魚
- バナナ
- 豆腐
- 野菜類
プロテインでタンパク質を摂りつつ、栄養バランスに気をつけて食事をすることで、矯正中の栄養不足を解消できます。茹でると柔らかくなるような野菜類や卵、お肉であれば挽肉などを利用するとよいでしょう。
まとめ
矯正中にプロテインがおすすめの理由と、飲む際の注意点についてご紹介しました。
タンパク質は、歯やその周辺の組織を構成している主成分であるため、矯正中は普段以上に意識して摂取することが大切です。
プロテインは、装置による歯の痛みなどで食事がしにくい矯正中でも、お手軽にタンパク質を摂取できます。ただし、飲みやすいからといって、プロテインに頼りすぎるのではなく、栄養バランスの取れた食事を心がけることも非常に重要です。上手に利用して、楽しい治療期間を過ごしましょう。
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