矯正をはじめるにあたって、よくある質問が「矯正治療中の食事について」です。
歯列矯正の治療中は、矯正装置を歯に装着するため、食べられるものと食べられないものがあるという話を耳にしたことのある方も多いようで、最後の晩餐に何を食べようか悩んでいる方も。
たしかに、矯正をはじめると硬いものが食べにくくなります。しかし、工夫次第ではなんでも食べられますし、治療が終われば好きなものを思う存分食べることができます。
とはいえ、矯正をはじめてすぐの頃は、食事に気をつけた方がよいことに違いありません。これから矯正をはじめる方は、食べるものや食べ方に注意して、治療を早く終わらせられるようにしましょう。
そこでこの記事では、矯正と食事について、矯正中の食事のコツ、矯正中の栄養不足の対策法をご紹介します。
矯正と食事について
好きな食べ物を思いっきり食べておくことは、矯正治療を受けた経験のある方のほとんどがやっておけばよかったと思うそうです。
他にも、矯正前にやっておけばよかったと思うことには、虫歯の治療を済ませておくことや歯のクリーニングなども挙げられるようですが、とくに好きな食べ物を食べておかなかったことについて後悔している方が多いといわれています。
一般的に、矯正は治療期間が長く、1〜2年、長い方だと3年以上かかるケースも。その間、好きなものを食べられないというのは、なかなか辛いものではないでしょうか。
そこでここでは、矯正中の食事制限や食べて良いものと悪いもの、矯正前に食べておきたいものについてご紹介します。
矯正中は食事制限があるの?
実のところ、矯正中の明確な食事制限というものはほとんどありません。
しかしその一方で、食事に時間がかかったり、食べるものや装置の種類によっては装置が壊れたり取れてしまったりする恐れもあるため、気をつけていただきたいのも事実です。
食べることが大好きな方にとっては、好きなものが食べにくくなることは寂しいでしょうけれど、「必要以上に食べなくて済んだ」「ダイエットにつながるかな」くらいの楽観的な気持ちでいる方が、ストレスを感じずに治療期間を過ごせるでしょう。
矯正中に食べて良いものと悪いもの
矯正中は、どうしても装置と歯の間にできた隙間に食べカスが挟まりやすく、虫歯の原因になってしまうことがあります。食べている本人も、装置に食べ物が引っかかってしまうことで不快な思いをする可能性も。
以下は、矯正中におすすめできない食べ物の例です。
- ラーメンやパスタなどの麺類
- ほうれん草やえのき、セロリ、ゴボウなどの繊維の残りやすい野菜類
- キャラメルやガム、チーズ、スナック菓子などの粘着性のある食べ物
- 赤ワインやコーヒーなどの飲み物
- ケチャップやデミグラスソース、カレーなどの着色しやすい食べ物
- 硬い肉
- せんべいやリンゴなどの前歯でかじるような食べ物
矯正中は基本的に前歯で咬むようなものや、粘着性のあるもの、繊維質なものなどは装置に挟まったり詰まったりして破損してしまう恐れがあるため、おすすめできません。また、着色しやすいものも装置に色移りしてしまう可能性があります。気になる方は控えた方がよいでしょう。
反対に、矯正中におすすめの食べ物は、やわらかく煮たうどんやおかゆ、豆腐料理、卵料理、魚や野菜の煮物などです。お肉を食べたいときには、ハンバーグやミートボールなど、ひき肉を使った料理がよいでしょう。豆腐を混ぜてさらにやわらかくすると食べやすくなるかもしれません。
近年話題の、透明なマウスピースで歯並びを整える「マウスピース矯正」は、食事中や歯磨きの際に装置を取り外します。
そのため、食べるものの種類についてはまったく気にしなくて大丈夫ですが、食後歯磨きをしないで装置を装着してしまうと、装置に着色したり虫歯になったりする原因になるので注意が必要です。
矯正前に食べておきたいものは何?
矯正治療の経験者の方に伺うと、「矯正前にあれを食べておけばよかった!」と後悔されている方も多くいます。
治療中の明確な食事制限はないとはいうものの、やはり食べにくかったり装置が壊れたりするのを懸念して、「治療が終わるまでは我慢!」という方がほとんどのようです。
では、矯正治療の経験者の方々は、具体的にどのようなものを食べておけばよかったと思っているのでしょうか。以下は、矯正前に食べておけばよかったと思った方が多い食べ物の例です。
- ステーキ
- 焼き鳥
- フライドチキン
- ピザ
- フランスパン
- アイスキャンディ
- お餅
- ガムやグミ
- イカやタコのお刺身
- 野菜スティック
- スルメ
上記のものの他にも挙げればキリがないですが、ほとんどの場合このような食べ物は矯正中に食べにくいため、「治療をはじめる前にもっと心ゆくまで堪能しておけばよかった!」と後悔する方が多いようです。
とくに、歯にブラケットという装置をつけ、ワイヤーを通して矯正するワイヤー矯正をはじめる方は、治療を開始するとワイヤーの留め金が口の粘膜に刺さって口内炎ができてしまうこともあります。そうなってしまうと、好きなものだけでなく普通の食事すらできないような状態になる恐れも。
通常の場合、矯正の最初に感じる痛みは1週間もすれば落ち着くといわれていますが、食べることが好きな方にとっては辛い日々になるかもしれません。
矯正をはじめると健康な歯で好きなものを美味しく食べる幸せをしみじみ感じられ、年齢を重ねても自分の歯で食事がしたいと心から思えるようになるでしょう。
矯正中の食事のコツ
おかゆやうどん、豆腐など、矯正治療中の食事はやわらかいものが中心になります。痛みがなければある程度硬さのあるものを食べられますが、治療を開始してすぐの時期や装置の調整をした直後などは、痛みが出やすいため注意しなければいけません。
しかし、治療を開始してしばらくすると、ほとんどの方が装置にも慣れて食べ方のコツも掴めてきます。すると、装置が壊れてしまう不安や食事中の食べにくさも軽減され、徐々に食事も苦にならなくなるでしょう。
ここでは、矯正中の食事のコツを3つご紹介します。
小さいサイズに切る
上記では、硬いものや前歯で咬むもの、繊維質のものは矯正中におすすめできないとご紹介しました。
しかし実は、ほとんどのものはあらかじめ小さく切っておくことで、食べることができます。ステーキなどの肉類も、小さく切って奥歯で咬めば問題ありませんので、心配しすぎないようにしましょう。
ただし、口に入れてみて咬めないと感じたものを、無理して飲み込んでしまうと胃腸によくありません。最初のうちは、一口サイズよりももっと小さく切って食べてみることをおすすめします。
少しずつ食べる
硬いものだけでなく、やわらかいものでも口の中いっぱいに頬張ってしまうと、咬みにくいだけでなく後の清掃が大変になってしまいます。
とくに、矯正をはじめてすぐの時期は、口の中に装置があることに慣れていません。そのため、装置で口の中を切ったり、口内炎ができたりすることも。
無理矢理咬んでしまうと、痛みや装置が壊れる原因にもなりかねないので、少しずつ口に入れて食べるようにしましょう。
飲み物をこまめに飲む
矯正装置を歯の表側に装着するワイヤー矯正では、食べ物が装置に絡まりやすく、友人や恋人との食事で恥ずかしい思いをしてしまうこともあります。
そのような場面では、飲み物をこまめに口に含んで舌に絡まりそうな食べ物を取り除き、食べカスが引っかかるのを防ぐのがおすすめです。飲み物で適度に口の中を洗い流しておくと、清潔な状態をキープできる上に、食後のお手入れも楽に済むでしょう。
ワインやグレープジュース、コーヒー、紅茶などは装置が着色してしまう原因になります。そのような飲み物はできるだけ控え、水や炭酸水にするようにしましょう。
矯正中の栄養不足の対策法
矯正治療中は、装置を装着していることの食べにくさや痛みなどから、食が進まずに痩せてしまう方もいます。しかし、食べられずに痩せてしまうと栄養不足になり、健康にも矯正にもよくありません。
栄養不足になると、歯を支えている骨の新陳代謝が進まず、治療が思うように進まなくなってしまう恐れもあるため、きちんと栄養を摂取するようにしましょう。
矯正中に限らず、食事は栄養バランスが重要です。おかゆやうどんは矯正中におすすめの食べ物ですが、そればかり食べていると野菜が不足してしまいます。
にんじんや玉ねぎ、ピーマンなどは、煮込むとやわらかくなります。小さく切れば食べやすくなりますし、そこにひき肉や溶き卵を入れれば、タンパク質からビタミンまで摂取可能です。シチューやスープの具にして、栄養をたっぷりと摂るようにしましょう。
また、スープを飲み干せばお腹がいっぱいになるだけでなく、野菜から流れ出た栄養素まで余すところなく体内に取り込めるので、ぜひ試してみてください。
まとめ
矯正と食事について、矯正中の食事のコツ、矯正中の栄養不足の対策法をご紹介しました。
人間は、歯で食べ物を咬むときに美味しさを感じる生き物です。矯正治療は食べるものに気をつかうこともありますが、ご紹介したようにほとんどのものは食べ方を工夫するだけで食べられるようになります。
矯正治療をこれからはじめるという方は、装置をつける前に思いっきり食べたいものを食べ、治療がスムーズに進むように担当の歯科医師の指示に従いましょう。
当院は、日本矯正歯科学会の認定医が多数在籍する矯正歯科専門医院です。矯正治療をはじめるにあたって緊張している方も、個室での診療を行っておりますので、安心してご来院いただけます。
矯正治療を検討されている方は、ぜひお気軽に「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」の無料カウンセリングへお越しください。