小児矯正を受けさせる親御さんは、大切な子供の将来を考えて決断し、長い期間と高額な費用をかけて治療に取り組んでいることでしょう。
そんな矯正治療が、もしも失敗してしまったとしたらどう思われますか?
「あのときこうすればよかった」「あっちの歯科医院に行けば失敗しなかった」「そもそも小児矯正なんてやらなきゃよかった」など、後悔ばかりが浮かぶのではないでしょうか。
本来、小児矯正はコンプレックスを解消したり機能面での回復を図ったりと、治療にかかった期間や費用などのデメリットを上回るメリットが感じられるものです。
しかし中には、せっかく治療を行ったにもかかわらず、失敗してしまったという方もいます。きちんと歯科医院で治療を受けたのに、なぜそのような事態が起こってしまうのかと疑問に感じたとしても不思議ではありません。
そこでこの記事では、小児矯正が重要な理由と小児矯正の失敗例、治療を成功させるために気をつけるべき3つのポイントをご紹介します。
小児矯正が重要な理由
そもそも、小児矯正とは永久歯が生え揃う前や生え揃ってすぐのタイミングで行う矯正治療のことです。第1期治療とも呼ばれ、この時期に矯正治療を行うことは、多くのメリットがあります。
以下は、小児矯正を行うメリットです。
- 第1期から治療を開始することで第2期治療を行わなくて済む可能性がある
- 将来抜歯や外科手術の可能性を低減できる
- 顎などの骨格的な不正をコントロールできる
- 大人になってから矯正治療をするより歯が動くことによる痛みが少ない
- 歯が動きやすい
- 治療後の歯や歯茎、筋肉が早く馴染んでいく
乳歯から永久歯へ生え変わる成長期に治療を行うことで、顎のバランスを整えやすく、歯が生えるスペースを作りやすいのが特徴です。
また、不正歯列の原因になりやすい指しゃぶりや口呼吸などの癖を直すきっかけにもなりますので、早いうちから矯正治療を受けるとよいでしょう。
ただし、すべてのケースで早いうちに治療を受けた方がよいわけではありません。顎や歯の成長は一人ひとり異なりますので、最適なタイミングで治療を受けられるように歯科医院へ相談に行くようにしてください。
小児矯正の失敗例
残念ながら、せっかく治療をしても失敗してしまうケースがあるようです。小児矯正における失敗と一口にいってもさまざまですが、具体的にはどのような症例があるのでしょうか。
ここでは、小児矯正の失敗例をいくつかご紹介します。
治療期間が長すぎる
一般的に、第1期治療で矯正装置をつけて過ごすのは2年から3年程度です。治療開始時にそのようにいわれたにもかかわらず、気がついたら10年近く治療を続けているという場合は、小児矯正がうまくいっていないことを示しています。
以下は、治療期間が長引く原因の例です。
- 最初の治療計画が間違っていた
- 子供の成長が想定したより早かった
- 途中で治療計画の見直しをしなかった
- 歯科医師の知識、経験不足
- 子供の指しゃぶりなど
- 装置を指示通り使用していない
難しい症例だと治療期間が長くかかる場合もあります。また、治療開始当初に想定した期間が過ぎてしまい、途中で治療が終わってしまうことも。
治療開始時に提示された期間を過ぎても治療が終わらないときは、担当の歯科医師としっかり話をすることが大切です。
歯並びは改善したが噛みにくくなった
矯正治療は審美性だけを求めるものではありません。とくに小児矯正の場合は、歯並びよりも顎の骨や噛み合わせを整えることが重視されます。
しかし、歯並びは綺麗に整ったにもかかわらず、噛み合わせが安定せず逆に悪くなってしまうこともあります。これは治療計画に無理があったり、選択した装置の効果が不十分だったりすることなどが原因です。
噛み合わせが不安定になると、以下のような症状が現れる可能性もあるので注意が必要です。
- 顎関節症
- 頭痛や肩こり
- 不安やイライラ
- 咀嚼しにくい
- 手足の痺れ
- 顔の歪み
- 出っ歯やすきっ歯
- 耳鳴りや聞こえにくさ
- 集中力の欠如
とくに子供の場合は、歯並びや噛み合わせが心身の健康に深く関わってくるため、注意しなければいけません。
虫歯や歯周病が進行した
小児矯正は、長期間矯正装置を装着する治療です。
矯正装置を装着していると非常に歯磨きがしにくく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。そのため、治療が終わって装置を取ったら歯並びはきれいになったが、虫歯や歯周病で歯がボロボロになってしまったという例もあります。
予防できるはずの虫歯や歯周病を進行させてしまうことは、矯正治療の本来の目的である「歯並びを整えて健康にする」ことを叶えられません。
もともと虫歯や歯周病のリスクが高い、予防が難しいなどの場合は、歯列矯正を行わない選択肢もある中で治療を選んだのですから、決断を間違えたといわざるを得ません。
拡大床治療で歯が骨から出てしまった
小児矯正では、拡大床という顎を広げる装置が使用されるケースもよくあります。拡大床は、抜歯せずに治療できる、取り外せて目立たないなどの理由から、歯科医師が勧めることも多い装置です。
しかし近年、不適切に拡大床を使用したことで、以下のようなトラブルが続出しています。
- かえって症状が悪化した
- 元に戻った
- 歯が斜めになる
- 口元が突出してしまう
そもそも拡大床とは、顎の大きさ自体を広げるものではなく、歯列を外側に膨らませる治療です。
ひどい場合だと、経験不足の歯科医師による拡大床治療によって、歯槽骨から歯が出てしまったケースもあるようです。あまりにもガタガタのひどい歯並びでは、無理に拡大床を使用すると機能障害を起こす原因になってしまいます。
治療前の状態に戻ってしまった
歯列矯正は、歯を理想の位置に移動させた後も元の位置に戻ろうとします。その理由は、顎に歯を収めるスペースがないのに抜歯をせずに矯正治療を行ったり、後戻りを防ぐための装置が適切でなかったりすることです。
そのほかにも、本当は歯列全体を矯正しなければいけない症状を部分的な治療のみで治した場合も、治療後元に戻ってしまう可能性が高くなります。
治療を成功させるために気をつけるべき3つのポイント
小児矯正は、非常に効果のある歯並び改善治療です。しかし、場合によっては思ったような効果が出ないことや、以前より症状が悪化してしまうこともあります。
実際のところ、歯列矯正は一刻を争うほど早く始めなければいけない緊急事態はほとんどありません。治療を成功させるためにも、これからご紹介する3つのポイントをしっかりと抑えて小児矯正を受けるようにしましょう。
専門性の高い歯科医院を選ぶこと
小児矯正をしたいと思っても、たくさんの歯科医院があるためどのように選んだらよいのかわからない方も多いです。歯科医院は、現在コンビニよりも多いといわれており、その中からよい歯科医院を選ぶのは至難の業です。
そのため、小児矯正を希望する場合、まずは日本最大の矯正歯科学会である「日本矯正歯科学会の認定医以上の資格」をもつ歯科医師が在籍するところを選ぶようにしましょう。
この認定医の資格を取得するためには、5年間以上矯正歯科についての専門的な研修と、学会の試験に合格する必要があります。つまり、日本矯正歯科学会の認定医以上の資格をもっているということは、歯列矯正についての知識と技術が豊富であることを示しているのです。
お住まいの地域に認定医以上の歯科医師がいるかどうかは、日本矯正歯科学会のホームページから確認してみましょう。
歯科医師の指示に従うこと
小児矯正で失敗する原因として多いのは、歯科医師の指示を守らないことです。
とくに多いのが、以下のようなケースです。
- 矯正装置の装着時間を守らない
- 歯科医院に通うのをサボっている
矯正治療は、事前の検査と治療計画によってトラブルを回避したり、治療期間が伸びたりするのを防いでいます。
子供にきちんと指示を守らせるのは非常に難しいですが、治療をはじめる前にしっかりと歯並びを整えることの大切さを子供と話し合うようにしましょう。
仕上げ治療をきちんと行うこと
小児矯正で大切なのは、治療期間だけではありません。多くの親御さんが、歯並びがきれいになると治療が終わったような気持ちになってしまいます。
しかし、実は治療後の仕上げをきちんと行えるかによって、きれいな歯並びをキープできるかどうかが決まるのです。
小児矯正の仕上げ治療とは、歯並びが整った後に保定装置を装着し、歯の後戻りを防ぐ治療です。この保定装置によってきれいな歯並びを維持できるようになります。
小児矯正の一般的な保定期間は、1年から2年半程度です。保定期間も定期的に通院しなければいけませんが、きれいな歯並びを保つためにもきちんと仕上げ治療を受けるようにしましょう。
まとめ
小児矯正が重要な理由と小児矯正の失敗例、治療を成功させるために気をつけるべき3つのポイントをご紹介しました。
小児矯正は見た目や機能面をよくするだけでなく、歯並びが悪いことをコンプレックスに感じてしまったり、引っ込み思案になったりすることを防ぐなど、子供の健全な心を育てる役割も果たします。
しかしせっかくはじめた矯正治療が失敗してしまうケースもありますので、今回ご紹介したポイントを理解したうえで治療を受けるとよいでしょう。
当院では、スタンダードな装置から最新のマウスピース矯正までさまざまな方法をご用意し、大切なお子様の歯並びが美しく整うように、日本矯正歯科学会の認定医がきちんと治療を行います。
治療の事前説明を重視しているため、親御さんがしっかりと納得されたうえでお子様の矯正治療を受けていただけます。
困ったことやトラブルにはLINEでも対応しておりますので、小児矯正を検討されている方は、ぜひ一度「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」までお気軽にご相談ください。