従来のワイヤー矯正にくらべると、簡単に取り外せることや目立たずに歯科矯正が可能ということから、注目が集まっているのがマウスピース矯正です。
マウスピース型矯正装置は、メリットの多い治療方法ではありますが、治療期間が長くなるということを心配している方もいらっしゃいます。
そこでこの記事では、マウスピース型矯正装置の治療期間についてと、治療期間を長引かせないためのポイントをご紹介します。
マウスピース型矯正装置を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
マウスピース型矯正装置の治療方法
マウスピース型矯正装置は、矯正治療期間(歯を動かす期間)と保定期間(きれいになった歯ならびを維持する期間)に分けられます。
矯正治療期間は、歯に力を加え歯根膜が縮んだり引き延ばされたりすることで、新たな骨をつくりながら歯が動いていきます。
治療にはまず、採取した歯型を3Dデジタル化したあとに、理想的な歯並びを実現するために必要な治療計画を立てます。
その後、歯科医師の指示に従いながら10日から2週間に一度のペースでマウスピースを付け替えていき、矯正治療後には後戻りを防ぐために保定期間にリテーナーと呼ばれる装置を装着します。
歯の状態別マウスピース型矯正装置の治療期間
ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置の治療期間に、実は大きな差はありません。
歯を動かす力は強ければよいというわけではないため、どちらの矯正方法でも歯を動かす力は変わらないと考えると、治療期間は矯正方法よりも症状によって変わると考えるほうが一般的です。
ここからは、代表的な歯の状態別マウスピース型矯正装置の治療期間をご紹介します。
すきっ歯
すきっ歯は医学的には歯間離開や空隙歯列と呼び、歯と歯の間に隙間が空いてしまっている状態です。
すきっ歯の原因はさまざまですが、先天的なものと後天的なものに分けられます。
先天的な理由としては、歯が小さいことが挙げられます。生まれつきアゴの大きさに対して歯が小さいと、すきっ歯となることがあります。
また、後天的な理由としては、舌で歯を押したり、口がポカンと開いていたりする癖が原因となることがあります。そういった癖があるケースでは矯正治療後の後戻りをしないように、舌や口唇の癖を治すトレーニングを行います。
すきっ歯は見た目の問題以外でも、ブラッシングがしにくいことによって虫歯や歯周病を悪化させる恐れがあるため、早めに治療することがよいとされています。
マウスピース型矯正装置ですきっ歯を治療する場合は、治療の目安期間が6ヵ月~1年半程度となります。
全体矯正をせずに、気になる部分のすきっ歯だけを改善したいということであれば、3ヵ月~6ヵ月で治療が終了するケースもあります。
叢生(そうせい)
叢生は、アゴが小さく、歯が大きい場合に歯列がデコボコになっている状態を指し、八重歯も叢生にあたります。
叢生の原因は、遺伝的なものや顎の発達が不十分であることとなり、放置することで食べ物をしっかり噛めない、ブラッシングがしにくく虫歯や歯周病を悪化させるなどのリスクがあることから、歯科矯正を希望する方が多い症状です。
叢生を歯科矯正で治療するためには、顎に十分なスペースを作るために抜歯を行ってスペースを確保するケースもあります。
全ての叢生患者において抜歯を行うわけではないため、歯科医院でしっかり説明を受け治療方法を選択しましょう。
そのため、治療は簡単な場合3ヵ月程度で終了することもありますが、全体矯正となると2年ほどかかるケースもあります。
出っ歯
出っ歯は横から見ると上の前歯が突出している状態で、外見上目立つことからも治療を考える方が多い症状です。
原因は遺伝的なものもあれば、指しゃぶりや舌を突き出す癖によって後天的に引き起こされている場合もあります。
笑ったときに歯茎が大きく見えることもあり、女性の方や思春期にコンプレックスになることがあります。笑うときに口元を隠したりする方も多く、心理面を考えても治療の必要があるといえるでしょう。
出っ歯は見た目の問題だけではなく、ドライマウスの原因となることや、スポーツや転倒によって前歯を破折しやすくなることも考えられます。
出っ歯の治療も抜歯を行うケースが多く、その場合は全体矯正が必要となります。
どの程度治療をするかにもよりますが、7ヵ月~2年3ヵ月程度の期間が必要となり、長期の治療で改善させていきます。
治療を長引かせないために必要なこと
矯正期間はそれぞれの患者さまの症状によって大きく異なりますが、治療を長引かせないようにするには以下のことに注意する必要があります。
ここからは、治療を長引かせないために必要なことをご紹介します。
歯科医師が定めた装着時間を守る
マウスピース型矯正装置は、マウスピースを1日20時間以上装着する必要があります。煩わしさからマウスピースを装着しない時間が長くなってしまうと、治療の効果は得られません。
食事の際はマウスピースを外す必要があるため、それ以外は装着している必要があります。
マウスピース型矯正装置は、ワイヤー矯正と違い自分で自由に取り外しが可能なので、自己管理によってしっかり装着しましょう。
お子さんがマウスピース矯正をする場合は、親御さんがマウスピースの装着を管理する必要があります。
外している時間が長いと歯を動かす力が働かず、治療が進まないことになってしまうので、注意しましょう。
マウスピースを正しく扱う
マウスピースは正しいお手入れを心掛けましょう。正しく扱わないことによって、マウスピースが壊れたり、本来の力を発揮できなくなったりする可能性があります。
お手入れは、やわらかいブラシで水や研磨剤の入っていない歯磨き粉、食器用の洗剤などで洗浄するようにします。
汚れやにおいがなかなかとれない時は、マウスピース専用の洗浄剤に浸した後、ブラシで磨いていただくと良いでしょう。
食事の際にマウスピースをつけたままにしておくと、虫歯の原因になるだけではなく、食事の際に咀嚼によってマウスピースを破損させてしまう可能性も考えられるため、食事の際は必ずはずすようにしましょう。
口内のケアをしっかり行う
マウスピースを装着している期間は、とくに口腔内のケアを怠らないようにしましょう。
食後に歯磨きを必ずすることで、マウスピースと歯の間に食べカスが挟まることを防ぎ、虫歯の予防につながります。
虫歯や歯周病の治療が必要になってくると、その分マウスピース型矯正装置の治療がストップしてしまうこともあり、治療が長引くことに直結します。
食後や就寝前の歯磨きを欠かさずに、虫歯予防を徹底して行いましょう。
鎮痛剤を使いすぎない
歯科矯正は歯に力がかかることによって、しめつけられるような痛みを伴うケースがあります。
とくに矯正をはじめたばかりのときには、その痛みに耐えきれないという患者さまには、痛み止めが処方されることもあります。
一般的には、矯正治療による歯の痛みは時間の経過とともに慣れていくため、何日か我慢することで収まることがほとんどですが、その何日かの間に痛み止めを何度も飲んでしまう方もいらっしゃいます。
しかし痛み止めは、骨の代謝を抑制する力をもっているため、歯の移動を遅くしてしまう可能性も考えられるのです。
毎日のように服用していると、矯正治療に影響を及ぼす可能性も考えられるため、注意が必要です。
計画通りに通院する
マウスピース型矯正装置は、ワイヤー矯正と同じように通院が必要となります。
症状によって通院の頻度は異なりますが、大体1ヵ月~3ヵ月の間で通院することとなります。
この通院日を先延ばしにしてしまうと、計画通り進んでいるのか、適合は良好か、といった治療の進み具合の確認や口内のチェックが行われないまま、マウスピースを着用することになります。
そのため、矯正期間中は必ず予約日に歯科医院に来院し、経過を確認することが重要です。
通院をしないことで、当初の計画通りに治療が進められなくなるケースもあるため、しっかり通院するようにしましょう。
まとめ
マウスピース型矯正装置の治療期間と、治療を長引かせないために必要なことをご紹介しましたが、参考になりましたか?
マウスピース型矯正装置の期間は、症状によって大きく変わってくるため、ご自身の症状と記事の内容を照らし合わせて参考にしてみてください。
銀座線末広町駅から徒歩1分の場所にある「末広町矯正歯科」では、明るく清潔な治療環境をご用意し、患者さまに「また来たい」と思っていただけるような環境作りを心掛けています。
治療の事前説明を重視して、患者さまに納得のいく治療を受けていただけるよう、治療内容や症状を細かくご説明させていただきます。
マウスピース型矯正装置に興味があるという方は、ぜひ千代田区の矯正歯科専門・「末広町矯正歯科」にご相談ください。