過剰歯とは、通常の歯以外に生えてくる余分な歯のことです。よく出現するのは上顎の前歯付近で、通常の歯と同じ向きに向かって生える「順生」と逆に向かって生える「逆生」のものがあります。
過剰歯がある場合、一般的には抜歯の小手術が行われますが、その判断は他の永久歯や口の中に悪影響を及ぼすかどうかによって決まります。
また、大人になってしまうと顎の骨が硬くなっており手術時間が長くなったり、すでに他の部位に悪影響が及んでいたりする可能性もあるため、できるだけ早く手術を受けるようにしましょう。
この記事では、過剰歯の手術を大人になる前に受けるべき理由、口腔外科と矯正歯科の連携が必要なケース、大人が過剰歯治療を受ける際のクリニックの選び方についてご紹介します。過剰歯の可能性がある方や、手術を検討している方はぜひ最後まで読んでみてください。
過剰歯の手術を大人になる前に受けるべき理由
過剰歯は、通常の歯と同じように歯茎から生えてくる場合もありますが、おかしな位置から生えてきたり、埋伏していて本人も気づいていなかったりする場合もあります。とくに歯茎の深いところに過剰歯が埋伏している場合は、気づかないまま大人になってしまうこともあるようです。
日本人は、自分の口の中に無頓着な方も多いです。そのため、中には上顎の裏側から過剰歯が生えてきているにもかかわらず、痛みがないからといって歯科医院を受診しない方も。
過剰歯の手術は、大人になってから行うとさまざまなデメリットがあるため、できるだけ早いうちに受けるのがおすすめです。ここでは、過剰歯の手術を大人になる前に受けるべき理由についてご紹介します。
骨が硬くなって手術時間が長くなる場合もあるから
過剰歯は、正常な歯とは形が異なったり歯列から外れて生えたりするケースもあることから、多くの場合抜歯の手術を行うことになります。
一般的に、成長期の子どもより大人の方が歯の周囲の骨が硬く抜歯しにくいです。
そのため、手術時間が長くなることも多く、抜歯後に痛みも出やすくなります。また、個人差はありますが、術後の痛みが長引く恐れも。
大人になると、歯周病などで歯茎がすでにダメージを受けているケースもあり、さらに治りが遅くなってしまう可能性もあるため、過剰歯の存在に気づいた段階で早めに歯科医院を受診しましょう。
永久歯の根っこが溶ける可能性があるから
過剰歯が歯茎の中に埋伏していると、他の永久歯の根っこを徐々に溶かしてしまう可能性があります。
過剰歯が隣り合う永久歯にぶつかり、歯の根っこを覆っているセメント質を傷つけてしまいます。大人になるまで過剰歯を放置した場合、さらに内側の象牙質、その内側にある神経にまで影響が及んでしまう可能性も。
そうなってしまうと、歯の神経が死んでしまい、永久歯が抜けやすくなったり歯が短くなったりする原因になります。神経が圧迫された永久歯は痛むこともあります。歯科医院を受診して原因を取り除くか、神経が死んでしまうまでその症状は続くことになるでしょう。
また、過剰歯がぶつかって弱い力が継続して加わることで、隣り合う永久歯の根っこが溶けて吸収される「歯根吸収」が起こる場合もあります。
歯根吸収が極度の状態になると、歯が抜けやすくなってしまいます。大人の場合は、歯周病が進行して歯茎が弱っている可能性もあるため、さらに歯が抜けやすい状態を作り出してしまうでしょう。
鼻腔内にまで到達する可能性があるから
冒頭でもご紹介したように、過剰歯は順生と逆生の2つに分類されます。
順生の場合は、通常の歯と同じ向きに生えているため、過剰歯が鼻腔内にまで到達することはありません。しかし逆生の場合は、正常とは逆方向へ生えていくケースもあり、過剰歯が徐々に鼻側へ移動してしまうことも。
しかも過剰歯が逆を向いているケースでは、歯茎の中に埋伏したままになっていることも多く、大人になるまで過剰歯の存在に気づかない方もいます。
ほとんどは骨の中で止まることが多いようですが、普段歯科医院にかかる習慣のない方は、気づいたときには鼻腔内に歯が見えていたという状況になりかねません。鼻腔からの抜歯は出血の可能性もある上に、全身麻酔下にて耳鼻咽喉科との合同手術を行わなくてはいけなくなってしまいます。
そうならないためにも、虫歯がなくても普段から歯科医院で検診を受けておくとよいでしょう。
過剰歯治療は口腔外科と矯正歯科の連携が必要なケースも
過剰歯は、生えている方向によっては他の歯や口の中に悪影響を及ぼす可能性があります。そのような場合、口腔外科にて抜歯を行うのが一般的です。
また、抜歯の手術を受けた後に矯正歯科で歯並びを整える必要があるケースも多く、2つの診療科が連携して治療を行う場合が多いでしょう。
ここでは、過剰歯治療で口腔外科と矯正歯科の連携が必要なケースについてご紹介します。
口腔外科とは
口腔外科とは、口の中や顎、顔面やその隣接組織に現れる先天性もしくは後天性の疾患を取り扱う診療科です。取り扱う症例は広く、歯が原因のものから顎変形症や口の中の癌、交通事故などによる外傷までさまざまな疾患を取り扱います。
過剰歯の抜歯も、外科的な小手術であるため、口腔外科で行われるのが一般的です。
過剰歯は自分で気づくこともあれば、歯科医院でレントゲンを撮った際に発見されることもあります。虫歯で一般歯科を受診して過剰歯の存在がわかった場合などは、抜歯が必要な状態であれば口腔外科を紹介してくれるでしょう。
矯正治療が必要になる場合も
子どもの頃に過剰歯の手術を行った場合は、永久歯がきちんと正常な位置に生えるケースもあり、経過観察のみで済む可能性は少ないもののゼロではありません。
しかし、大人になってから治療を行う場合は、すでに歯並びが完成しているため、すきっ歯や叢生(歯並びがガタガタの状態)の状態になっている方も多いです。一般的には、矯正歯科で過剰歯の有無や位置を確認し、口腔外科の力を借りて抜歯を行ってから矯正治療を受けることになります。
以下は、抜歯後の矯正治療の方法の例です。
- ワイヤー矯正
- 裏側矯正
- マウスピース矯正
- 部分矯正
矯正治療というと、銀色の矯正装置を装着するワイヤー矯正を思い浮かべる方が多く、装置が目立ってしまうことに抵抗を感じる方も少なくありません。しかし近年、透明のマウスピースを装着するマウスピース矯正や、歯の裏側に矯正装置を装着する裏側矯正などが普及してきており、以前よりも格段に見た目がよくなっています。
とくにマウスピース矯正は、口の中を傷つける可能性も少なく、食事や歯磨きの際には取り外せるため、日常生活への影響が少なくて済むでしょう。
いずれにせよ、過剰歯の位置や方向をレントゲンでチェックした上で、手術の必要性や治療の内容について判断するため、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
大人が過剰歯治療を受ける際のクリニックの選び方
大人の過剰歯治療は、子どもと比べて大変なケースが多く、長期間かかることがほとんどです。そのため、治療を受ける際は以下のことに注意してクリニックを選ぶことをおすすめします。
- 矯正歯科専門医院であること
- 口腔外科と連携、もしくは口腔外科医が在籍していること
- 生活に無理なく通院できること
矯正歯科専門医院とは、歯並びを整える矯正治療を専門的に扱う歯科医院です。
過剰歯の治療でも、抜歯を行った後に矯正治療で歯と歯の間の隙間やガタガタになった歯並びを治す必要があるため、基本的には矯正歯科専門医院を受診して、必要に応じて口腔外科で抜歯を行います。
その際、矯正歯科専門医院と口腔外科が連携していると、治療がスムーズに行える可能性も高くなるでしょう。
また、クリニックが通いやすいところにあることや、診療時間や曜日なども自分の生活に適しているかなど、生活に無理なく通院できるかどうか確認しておくことをおすすめします。
まとめ
過剰歯の手術を大人になる前に受けるべき理由、口腔外科と矯正歯科の連携が必要なケース、大人が過剰歯治療を受ける際のクリニックの選び方についてご紹介しました。
過剰歯は、大人になってから治療を受けると、手術時間が長くなったり痛みが出やすかったりするだけでなく、隣り合う歯や全体の歯並びにまで悪影響が及んでしまう可能性もあります。
そのような事態を避けるためにも、子どもの頃から歯科医院での定期検診を習慣にしておくことが大切です。
もし大人になってから過剰歯の存在がわかった場合、抜歯の小手術を行うのが一般的です。手術自体は日帰りで行う比較的簡単なものですが、歯が生えている位置や向きによっては、入院する必要も出てきてしまうので、過剰歯が疑われる場合はできるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
当院から歩いて5分のところにある「秋葉原総合歯科クリニック(本院)」との連携により、抜歯や矯正中の虫歯治療などにスムーズに対応できるシステムとなっています。
大人になってから過剰歯が生えてきた方や、過剰歯の可能性に気づいた方は、ぜひ一度「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」までご相談ください。