子供の歯列矯正を検討しているものの、費用が高額になるイメージから治療を躊躇している親御さんも多いのではないでしょうか。
年齢にかかわらず、基本的に歯の矯正治療は保険が適用されない自由診療とされており、治療にかかる費用は高額となります。
なぜなら通常の歯列矯正は、見た目を改善するという意味合いが強く、病気の治療と審美目的との線引きが非常に難しいため、保険を適用する症例が限定されているからです。そのため、歯列矯正の費用は、子供で処置が難しいケースだと40万円以上かかる場合もあり、家計に大きな負担となります。
しかし、すべての矯正治療に保険が適用されないというわけではありません。先天的な疾患や骨格に異常がある場合などは、保険適用となるケースもあるので注意が必要です。
この記事では、子供の歯の矯正費用が保険適用になる基準と、子供の矯正費用を抑える3つの方法についてご紹介します。
子供の歯の矯正費用が保険適用になる基準
先日の第204通常国会で、子供の歯列矯正への保険適用の拡充に関する請願が、全会一致で採択されたという嬉しいニュースが飛び込んできました。
しかし現在はまだ、子供の歯列矯正は大人と同様に一部の場合を除いて原則として自由診療であるため、保険が適用されるかされないかによって、矯正治療にかかる費用は大きく異なります。
では、子供の歯の矯正費用が保険適用になる基準とは、具体的にどのような場合なのでしょうか。
前歯3本以上の永久歯萌出不全
子供に多くみられるのが、前歯3本以上の永久歯萌出不全が原因の噛み合わせ異常です。
永久歯は、一般的に6歳から12歳頃に乳歯と生え変わりますが、なんらかの原因で永久歯が生えてこない場合もあります。
以下は、永久歯萌出不全の原因として挙げられるものです。
1:歯の萌出遅延
- 顎の骨の中にある歯の位置や方向の異常
- 歯の形成不全
- 萌出力の不足
- 被覆歯肉の肥厚
- 乳歯の早期脱落による骨質の緻密化
- 鎖骨頭蓋異骨症
- カルシウム代謝障害
- ビタミン欠如症によるくる病、クレチン病
- 下垂体前葉の機能障害
- 先天梅毒
2:埋伏歯
- 埋伏歯自体に異常がある
- 乳歯の早期脱落や顎の骨の発育不全による萌出部位の消失
- 萌出方向に嚢胞もしくは腫瘍が存在する
- 粘膜肥大や局所的な骨硬化がみられる
- 硬化性顎炎、骨大理石病など
- 歯と顎の骨が癒着している
- 顎の骨に外傷が生じている
3:先天性欠損歯
- 永久歯が部分的、もしくはすべて先天的に欠損している
これらの原因により正常な歯の萌出が妨げられ、歯列不正を起こします。
その中で保険適用となるのは、埋伏歯開窓術という歯茎を切開し、歯茎に埋伏したままの永久歯を露出させる手術が必要な場合のみです。
言い換えると、前歯3本以上の永久歯が生えてこない場合でも、切開手術の必要がない場合は保険適用外になってしまうということなので注意しましょう。
先天性疾患が原因
子供の歯列矯正は、国が定める先天性の疾患が原因で生じている不正咬合や、顎の外科手術が必要となる顎変形症の手術前、手術後の矯正治療については保険が適用されます。
顎変形症とは、上顎骨と下顎骨のどちらか、もしくは両方の大きさなどが原因で噛み合わせが悪かったり顔が変形したりする状態のことです。
一般的によく知られている表現でいうと出っ歯や受け口などです。保険適用となるのはその原因が顎変形症によるもので、症状が重く外科手術の必要があると判断された場合に保険が適用されます。
ただし、子供の場合は顎の成長終了後に手術を行うケースが多いため、ため、まずは歯科医院を受診し、最適なタイミングと、保険適用になるかを確認してから治療を受けるようにしましょう。
また国が定める先天性の疾患とは主に唇顎口蓋裂やダウン症候群、筋ジストロフィー、6本以上の非症候性部分性無歯症などで、現在53の先天性疾患が定められています。
認定されている疾患の種類も多いため、適用されるかどうかは歯科医師に相談するようにしましょう。
保険適用内で矯正治療を受ける際の注意点
上記でご紹介した疾患に該当する場合、保険適用内での矯正治療を受けられますが、注意しなければいけない点がいくつかあります。
保険適用内で矯正治療を受けるには、国が指定した保険医療機関を受診しなければいけません。また、顎変形症と先天性疾患の治療は別々の資格を有する歯科医師しか行えないため、事前に確認する必要があります。歯列矯正の専門医であっても、この指定を受けていない場合は保険適用内での矯正治療は行えませんので注意しましょう。
保険適用内で矯正治療を行える保険医療機関については、日本矯正歯科学会のホームページで検索方法を紹介しているので、参考にしてみてください。
他にも、保険適用内で矯正治療を受けるには、以下の点に注意が必要です。
- 舌側矯正やマウスピース型矯正装置は適用外
- 健康保険に加入していること
保険適用の歯列矯正は、審美性を求める治療はできないことや難易度が高いケースも多いことから、基本的に表側矯正で行われます。透明のブラケット(歯列矯正で歯に装着する装置)の使用も認められているので、見た目が気になる方は目立たない装置を選択することもできます。
子供の矯正費用を抑える3つの方法
子供の歯列矯正は、歯並びや噛み合わせを整える効果があるため、大人になる前に治療を受けるケースも多いです。上記では保険適用になる基準についてご紹介しましたが、実際のところ保険適用外で治療を受けるケースの方が圧倒的に多いのも事実です。
では、お金がないと子供に矯正治療を受けさせられないのでしょうか。ここでは、子供の矯正費用を抑える3つの方法をご紹介します。
第1期治療からはじめる
そもそも、子供の矯正治療は時期によって2種類の治療方法に分かれているのをご存知ですか?
一般的に、乳歯と永久歯が混在している3歳から小学校高学年頃に行う治療を「第1期治療」、12歳頃から高校生頃までに行う治療を「第2期治療」といいます。
第1期治療では、主に床矯正装置やマウスピース型矯正装置を使い、顎を広げて永久歯が並ぶためのスペースを作ったり、噛み合わせを整えたりする治療が行われます。
骨格的な問題から改善できる第1期治療から歯列矯正を行えば、成長に伴って自然と歯並びが整う可能性もあるため、永久歯が生えそろった後に細かく歯列を整える必要性が低くなり、結果的に第2期治療を行わなくてよくなるかもしれません。
また、第2期治療が必要になった場合でも、抜歯をしなくて済むケースや歯科医院によっては第1期治療分の費用を差し引いてくれるところもあるので、結果的に治療期間の短縮やトータルでかかるコストを抑えることにつながります。
医療費控除を利用する
医療費控除とは、納税者本人だけでなく家族のために支払った1年間の医療費が税込10万円以上となった場合に、確定申告をすることで納めた税金の一部が還付される制度のことです。
歯列矯正は保険適用内で治療を受けることがなかなか難しいですが、実は発育途中の子供の歯列矯正については、保険が適用されなくても医療費控除を受けられるケースがあります。
具体的には、歯並びの悪さや噛み合わせが子供の発育に悪影響を与える可能性があり、歯科医師に矯正治療が必要だと診断された場合です。確定申告の際に、歯科医師の診断書(有料)を一緒に提出することで、保険適用外の治療でも医療費控除を受けられます。
ただし、子供の場合でも審美目的であれば医療費控除の対象にはならないうえに、最終的にはお住まいの管轄税務署の判断によりますので、治療を受ける前に税務署へ相談することをおすすめします。
ローンを利用する
矯正治療を受ける歯科医院によっては、独自の治療費分割制度を設けていたり、医療ローンを組めたりするところも多いです。
何回までは無利息にできるなどの制度を設けている歯科医院もありますし、月々の支払いをコントロールすることで子供に矯正治療を受けさせられるので、うまく活用してみるのもひとつの方法です。
他にも、分割払いには以下のような方法があります。
- クレジットカード
- 銀行デンタルローン
- カードローンでの借り入れ
それぞれ金利や手続きの仕方などが異なりますので、自分に適した無理のない分割方法を選択するようにしましょう。
まとめ
子供の歯の矯正費用が保険適用になる基準と、子供の矯正費用を抑える3つの方法についてご紹介しました。
子供の矯正治療も、大人と同じように原則として保険適用外です。しかし骨格や噛み合わせがある一定の基準を満たしていれば、保険適用内での治療を受けられる可能性もあるので、歯科医院へ相談してみることをおすすめします。
また、保険適用外であっても工夫次第で経済的な負担を軽くできる可能性もありますので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
当院では、顎の拡大を目的とした装置や床矯正、マウスピース型矯正装置などさまざまな装置をご用意し、日本矯正歯科学会認定医がお子様に最適な歯列矯正を行います。
明朗会計を心がけ、デンタルローンによる分割払いにも対応しておりますので、無理なく費用をお支払いいただけます。
お子様の歯列矯正を検討されている場合は、ぜひ一度「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」の無料カウンセリングへお越しください