近年、日本でも歯並びを気にする方が増え、矯正治療をはじめる方も多くなりました。矯正治療をお考えの方の多くがお悩みになるのが、「マウスピース型矯正装置」と「ワイヤー矯正」のどちらを選択するかです。
従来のワイヤー矯正は、現在さまざまな材料が開発され、装置が目立たなくなってきているものの、マウスピース型矯正装置と比較してどうしても矯正していることがわかってしまいます。
そのため、多くの患者さんがマウスピース型矯正装置を希望されます。しかし一概にマウスピース型矯正装置がよいというわけではなく、それぞれに利点・欠点があるため、自分に合った治療方法をしっかりと見極める必要があるのです。
この記事では、マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正の違い、矯正装置の3つの選び方についてご紹介します。
歯列矯正を検討されている方で、マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正のどちらにするかお悩みの方はぜひ最後まで読んでみてください。
マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正の違いは何?
今や従来のワイヤー矯正にとって代わり、歯列矯正の主流になりつつあるマウスピース矯正。両方とも、歯並びを綺麗にするための方法であり、歯を動かす原理に違いはありません。
ではそもそも、この2つの矯正方法にはどのような違いがあるのでしょうか。ここではマウスピース型矯正装置とワイヤー矯正の違いについてご紹介します。
審美性
マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正の最大の違いは、矯正装置をつけたときに矯正器具が見えるかどうかです。
マウスピース型矯正装置の矯正装置は、透明で薄く柔軟性のあるマウスピースです。一方のワイヤー矯正は、ワイヤーを固定するブラケットという装置とワイヤーを装着するため、口を開けたときに目につきやすくなってしまいます。
審美的な面でいうと、圧倒的にマウスピース型矯正装置の方が目立たせずに歯並びを綺麗にできます。
虫歯、歯周病のリスク
マウスピース型矯正装置は、ワイヤー矯正よりも圧倒的に虫歯や歯周病のリスクが低い矯正方法です。その理由は、マウスピース型矯正装置は自分で簡単に取り外しができるためです。
マウスピース型矯正装置は、歯磨きの際に取り外して普段通りにブラッシングができます。一方、ワイヤー矯正は装置を取り外せないため、どうしても装置と歯のあいだに汚れが溜まりやすくなってしまいます。
また、ワイヤー矯正の場合は装置が口の中に当たって荒れやすくなったり、傷ついたりする原因になることも。
マウスピース型矯正装置も、歯茎にマウスピースが当たり擦れて痛みが生じる可能性もあります。しかし、そのような場合取り外して対処が可能です。
治療期間
治療期間は、マウスピース型矯正装置もワイヤー矯正もほとんど変わりません。
昔はワイヤー矯正の方が早く治療を終えられるといわれていましたが、マウスピース矯正も日々技術が進歩しており、治療方法が確立してきたため今は変わらなくなってきました。
マウスピース型矯正装置は、数週間に1度マウスピースを交換しながら治療を進め、平均して1〜2年程度で治療が完了します。歯を大きく移動させない場合は治療期間も数か月と短く済みますが、長いと3年程度かかることもあります。
ワイヤー矯正もマウスピース型矯正装置と同じように、患者さんの歯並びによって治療期間の長さが異なります。ワイヤー矯正の場合、マウスピース矯正では適用が難しい抜歯適応などの症例にも対応していますが、その場合3年以上かかることもあります。
食事について
上記でもご紹介したように、マウスピース型矯正装置は自分で簡単に取り外せるのが特徴です。食事の際も取り外して普段通りに飲食ができるため、食べてはいけないものなどの食事制限がありません。食事を美味しく食べたい方にとっては嬉しい方法なのではないでしょうか。
ワイヤー矯正も慣れるまでは大変ですが、慣れればそれほど変わらないかもしれません。ただし、ワイヤー矯正は硬いものを食べると装置が外れる恐れもあるので、注意が必要です。
以下は、ワイヤー矯正の治療中に避けたい食べ物です。
- 硬いもの:せんべい、バゲット、りんごまるかじり、かたいステーキ、氷など
- くっつくもの:キャラメル、ガム、お餅など
- 矯正装置に絡まるもの:ニラ、エノキ、糸こんにゃく、春雨など
これらの食べ物も小さく切る、割る、スープに浸すなどの工夫で食べられますが、痛みを感じる場合は食べるのをやめておきましょう。
両方に共通するのは、食後に必ず歯磨きをすることです。とくにマウスピース型矯正装置は、歯磨きをせずにそのままマウスピースをはめた場合、虫歯や歯周病のリスクが上がる原因になるため注意が必要です。
痛みはある?
マウスピース型矯正装置もワイヤー矯正も、歯が動く際に痛みを感じる可能性があります。ただ、痛みの程度はマウスピース型矯正装置の方が少ないといわれています。
これは、マウスピース型矯正装置が1枚のマウスピースで動かす歯の量が0.25mmと決まっているためです。ワイヤー矯正も歯が動く際に痛みを感じることがありますが、ワイヤー材料も歯にやさしい(力がかかる)素材が多いため、それほど痛みを感じることはないでしょう。
ただし、上記でもご紹介したようにワイヤー矯正は装置が口の中に当たることにより、口内炎ができることがあります。通常、数日で治り、その後はできにくくなりますが、現代では医療用シリコーンなど、痛みに対処するための商品が開発されていますので、我慢せずにかかりつけの歯科医院で相談するのがベストです。
治療費用
矯正治療の費用は健康保険が適用されない自由診療になるため、歯科医院によって値段が違います。しかし、一般的にマウスピース型矯正装置の方が高い傾向にあります。
これは、ワイヤー矯正と比べてマウスピース型矯正装置の材料費が高いためです。材料費が治療費用に上乗せされているため、マウスピース矯正は費用が高額になるケースが多くなります。
以下は、矯正治療費用の一般的な総額目安です。
- マウスピース型矯正装置:約70〜100万円以上で状況によってはもっと高額になる
- ワイヤー矯正:表側装置で約60〜100万円、舌側装置で約100〜150万円
ワイヤー矯正の裏側装置は、矯正器具がオーダーメイドで手間と時間がかかるため高額になります。また、ワイヤーの調節に高度な技術が必要となることも費用に影響しています。
矯正装置の3つの選び方
大人や子どもに限らず、矯正治療には長い時間が必要です。長い時間にわたり矯正装置を装着するのですから、綺麗な歯並びを手に入れられるように、自分に合った矯正装置を選びたいものです。
ここでは、矯正装置の3つの選び方についてご紹介します。
対応できる症例で選ぶ
ワイヤー矯正は、ほとんどすべての症例に適応可能です。一方、マウスピース型装置矯正が適応しているのは「軽度から中度」の症例で、骨格に問題があり外科的手術をしなければいけないようなケースにはあまり適していません。
まず、基本的にワイヤー矯正はワイヤーに沿って歯を平行移動させるのに向いています。マウスピース型矯正装置も、種類によっては平行移動が可能な場合もありますが、どちらかというと傾斜移動の方が得意です。
年々改良され適応症例も増えてきているものの、症状が重い場合はマウスピース矯正を選択できないこともあるので、信頼できる歯科医院で相談してみましょう。
自己管理ができるかどうかで選ぶ
マウスピース型矯正装置は、1日に20時間以上マウスピースを装着していなければ思ったような効果を得られない可能性があります。しかし、マウスピース型矯正装置は食事や歯磨きの際に自分で着脱ができるからこそ、自己管理を徹底する必要があります。
決められた装着時間を守れない方や、新しいマウスピースへの交換をきちんとできる自信のない方は、高い費用をかけてマウスピース型矯正装置をしても計画通りに矯正が進まなくなってしまいますので、ワイヤー矯正の方が向いているかもしれません。
ライフスタイルで選ぶ
矯正治療は症例にもよりますが、従来のワイヤー矯正をはじめ、裏側矯正や部分矯正、マウスピース型矯正装置などからご自身のライフスタイルや希望に合わせて装置を選択できます。
仕事柄、人と接する機会の多い方や見た目を気にする方は透明で矯正していることがわかりにくいマウスピース型矯正装置を、装置を着けたり外したりするのが面倒な方はワイヤー矯正を選ぶなど、昔と比べて自由度が高くなっています。
また、費用や治療期間、通院の頻度などで自分に合った方法を選択できることもあるので、それぞれの特徴を踏まえたうえで選択しましょう。
まとめ
マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正の違い、矯正装置の3つの選び方についてご紹介しました。
マウスピース型矯正装置は患者さんにとってストレスが少なく、気軽にはじめられる矯正治療です。しかし、その一方で歯を動かす向きや大きく歯を動かしたいような症例では、ワイヤー矯正に敵わない部分も多くあります。
マウスピース型矯正装置とワイヤー矯正はそれぞれによい点があり、どちらが向いているのかは患者さんの希望にもよりますが、結果的に歯科医師の判断です。
また、マウスピース型矯正装置は最初の診断を誤ってしまうと、あまり効果がなかったという事態が起こる可能性もあるので、矯正治療を検討している方は信頼できる歯科医院を見つけることからはじめるとよいでしょう。
千代田区の矯正歯科専門・「末広町矯正歯科」では、患者様にとってどの治療が最良かを考え、患者様の意思とご要望にできる限り沿った治療計画を立てて診療を行っています。
患者様のためにも、できるだけ時間や期間を短縮した効率のよい治療を提供したいと考えておりますので、マウスピース型矯正装置かワイヤー矯正かお悩みの方は、ぜひ一度「末広町矯正歯科」までご相談ください。