歯が痛くなって歯医者に行くと、痛い歯を治療するより先に、X線によるレントゲンを撮影されると思います。
早急に痛みをどうにかして欲しい処であることは、その様子を見て明らかなのに、治療を差し置いて行われるレントゲン撮影には、一体どれだけ重要な意味があるのでしょうか?
虫歯治療で必ずと言っていいほどレントゲン撮影をされる、意外と詳しくは知られていない理由や重要性について、分かりやすく解説します。
レントゲン撮影で分かること
レントゲン撮影をすると、なんとなく「骨が写るアレでしょ?」と思っている方は多いと思います。
歯科レントゲンにおいては「目で見ても分からない部分が分かる」という程度の理解なのではないでしょうか。
歯科レントゲンでは、単純に「できてしまった虫歯」の他に、すでに治療を終えている虫歯の詰めものや被せものの下の新たな虫歯の進行度合いや、歯周病の様子、歯を支えている顎に起きている症状や、歯痛の原因となっている炎症など、実に様々な症状を写し出すことができるのです。
レントゲン撮影の種類
口腔内全体や、虫歯とその付近の歯3~4本などのレントゲン画像を見たことがあると思います。
実は歯科レントゲンは3種類の撮り方があり、それぞれ役割が違います。
パノラマレントゲン
パノラマレントゲンはその名の通り、大きい範囲を撮影する検査方法で、フィルムを口の中に入れないので「口外法」とも呼ばれます。
歯の状態はもちろんのこと、顎関節や副鼻腔、親知らずなどの状態など、患者さんが自覚のある1本の歯だけではなく、口腔内全体の問題を写し出すのが、パノラマレントゲンです。
歯の治療の他にも、年単位で変わっていく口腔内の状況を把握して、虫歯等の早期発見に役立てるためにも、年に一度は撮影しておいた方がいい検査です。
デンタルレントゲン
口の中にフィルムを入れて、3本程度の歯をアップで撮影する検査方法が、デンタルレントゲンです。
歯医者さんを受診した際、レントゲン撮影で、四角いフィルムなどの媒体を、患部に充てるように指で押さえ、外からX線を当てて撮影します。
痛む歯や、パノラマレントゲンで発見した異常個所をさらに詳しく見るために撮影しますが、特に歯周病の進行状態を確認するのに適しています。
治療前の他にも、治療中の歯の根に薬がしっかり入ったかどうかを確認するために、都度撮影される場合があります。
歯科用3次元CT
通常の歯科レントゲン撮影では、1方向につき1カットしか撮影することができません
それに比べて歯科用3次元CTは、奥行きや角度といった立体的な情報も含めることが可能なため、360度の方向から膨大な情報量で何百というカットを撮影することができます。
特に、インプラント体を埋め込む際は、神経や血管の位置の把握や骨密度の確認も必要ですが、そういった情報は歯科レントゲンだけでは得ることができません。
親知らずの抜歯の場合でも、通常の歯と違ってイレギュラーな生え方をしている歯と、特に大きな神経が通っている下顎との、位置関係を正確に捉えることが必要です。
通常の歯科レントゲンでは分からない、骨の厚みや密度、空洞の形状、病巣の深さや奥行きなどが詳細に分かるCTスキャンを行うことで、治療の安全性がより高まります。
レントゲン写真の見方
では実際、歯科医はレントゲン画像のどんなところを見て、様々な診断を下すのでしょうか。
レントゲン写真は皆さんも見たことがある通り、モノクロの濃淡で構成されていて、固い所は白く写り、柔らかい所ほど黒く写ります。
では、虫歯や炎症など、患者にとって不都合な症状や口腔内の状態は、どのように写し出されるのか、その見方を説明します。
白いところ
虫歯治療をしたことがある方は、その後に撮影したレントゲンの中に、真っ白に写っている部分を見たことはありませんか?
健康な歯は、少し透明感のある白(グレー?)で写し出されます
虫歯を削って詰めものをしたり、銀歯を被せたりと、歯の代わりになるくらいの固い素材を治療で入れた部分は、レントゲンでは透明度のない真っ白に写し出されます。
黒いところ
歯科レントゲンは、柔らかい部分、つまり歯茎や神経などはうっすら黒く写ることになっています。
そして、健康な歯の部分は、固さがあるので上述通り白っぽく写りますが、その中の、
-
- 酸で溶けてしまっている虫歯部分
炎症が起きて膿が溜まっている歯根
歯周病の所為で炎症が起きている歯槽骨(歯が嵌っている穴がある顎の骨部分)
など、固い骨組織で構成されているはずの部分が柔らかくなってしまったり、膿が溜まって歯茎内に空洞ができていると、歯科レントゲンには黒く写ってしまいます。
白に隠れているところ
では、特に銀歯などの被せものをした歯の場合は、治療素材が白く邪魔をして、できてしまった虫歯を確認できないのでは?と思いますよね。
虫歯治療で素材を詰めたり被せたりするときは、隙間がないように処置されるのですが、たまにそれがうまくいかず隙間が開いていたり、治療後時間が経ってずれが生じて隙間が空いたりすることがあります。
そこに食べかすが溜まったり、虫歯菌が入り込んだりした場合に虫歯になります(二次う蝕といいます)が、その隙間は、レントゲンで黒い部分として確認することができるので、虫歯があると予想を立てることができます。
他には、以前の虫歯の治療時にお薬を詰めた場合、その部分はそれほど固くないので黒く写りますが、治療した歯科医ではない場合、それが虫歯なのか薬なのかがレントゲンからは判断できないので「一度開けてみないと分からない」ということになります。
しかしそれは、歯が動いたり痛んだりという、何らかの不都合な症状があって受診されている場合のはずなので、被せものを取るのは問題ないでしょう。
歯科レントゲンは危険?
虫歯治療に欠かすことができないと思われるレントゲン検査ですが、そのメカニズムは、X線を照射して、透過するものと吸収するものの差を白黒の濃淡で写真に写し出すというものです。
しかしそのX線とは、いわゆる放射線のことですので、被曝を心配される方も多くいらっしゃいます。
日本での1人当たりの1年間の平均自然放射線量(普通に暮らしていて放射線を受ける量)は1,5ミリシーベルトと言われ、世界の2,4ミリシーベルトに比べても低いと言われています。
歯科レントゲンの被ばく量は、パノラマレントゲンでは0.03ミリシーベルト、デンタルレントゲンに至っては0,01ミリシーベルト、歯科用CTでも0,1シーベルトと、他の医療レントゲンに比べても大分数値が低くなります。
100ミリシーベルト以下でのがんの発生率は、自然発生の場合と比べても差が見られないと言われていますので、安心できる検査方法と言えるでしょう。
レントゲンに代わるもの
虫歯治療の際の歯科レントゲン撮影は、口腔内の異常を把握するためにはどうしても必要な検査であることは分かって頂けたかと思います。
しかし、どうしても撮影時の被曝の安全性を疑ってしまう患者さんはいらっしゃるでしょう。
実は歯科レントゲン撮影は、それに代わるものがあります。
口腔内デジタルスキャナー「iTero」は、X線を使うことなく口腔内の状態を正確に把握し、しかも簡単に行うことができ、歯科矯正の際の「歯の移動」までも緻密に予測することができます。
虫歯治療に利用される最新の「iTero 5D」に至っては、見えにくいところにできた虫歯や歯石も見逃さない、近赤外光画像技術を搭載しています。
従来の型取りは、あのドロッとした粘土のような印象材を咥えて、しばらく動かさないように注意して待たされ、その後は、歯科技工士さんに型取りを郵送し作成してもらい、受け取るまで数日から数週間待たされます。
そのような経過を経なくても、iTeroであればほんの1分程、ペン型のカメラを照射するだけで精密な型取りができ、その場でデータを送信できるので、郵送の時間が省けてスピーディに治療を進めることができます。
型取りが正確なので、上述したような、被せものと歯の間の隙間がない治療ができ、二次う蝕を防ぐことが可能になります。
ただ一つ、iTeroは数少ない医院でしか取り入れられていないので、利用したい場合は、患者さん自ら探す必要があるのが難点といえるでしょう。
まとめ
虫歯によるレントゲン撮影でどんなことが分かるのか、写真の見方や、レントゲン検査の必要性など、様々な角度から詳しくご紹介しました。
被曝が心配されるレントゲン撮影ですが、「末広町矯正歯科」では、食事の制限がなく気軽に矯正治療ができるマウスピース型矯正(インビザライン)のマウスピース作成にあたり、歯科レントゲンを必要としない精密な型取りが可能な「iTero」を取り入れています。
デジタル3Dの正確なデータから作成される、一人ひとりに合ったオーダーメイドのマウスピースは世界での実績も多く、治療精度が飛躍的に向上します。
歯科矯正でお悩みの方は、ぜひ一度「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」にお気軽にご相談ください。