埋伏歯は歯が歯肉の下に埋まっていて生えてこない状態で、歯科医院で行うレントゲンで気が付くこともあれば、左右で差があることに自分で気が付くことも。
埋伏歯が他の歯に影響を及ぼしているケースや、咬み合わせが悪くなっているケースでは手術によって抜歯や牽引を行う必要があります。
この記事では、埋伏歯の手術が保険適用になるか、治療方法、放置するリスクなどをご紹介していきます。
埋伏歯について詳しく知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
埋伏歯とは
埋伏歯は、乳歯から永久歯への生え変わりがうまく行われず、永久歯が歯肉や顎の骨に埋まっていて生えてこない状態です。
上顎の犬歯などに多く見られ、埋伏歯の隣の歯が倒れこんで、さらに生える場所がなくなってしまいます。
また、埋伏歯を放っておくことですでに生えている歯の根を傷つけてしまうこともあるため、状態によっては抜歯が必要となるケースもあります。
埋伏歯の原因
埋伏歯は、以下のような原因によって引き起こされると考えられています。
- 歯が生える方向に問題がある
- 歯が生えるスペースが足りない
- 歯と骨の癒着
- 顎の骨が小さい など
埋伏歯は、上記のような原因の他にも乳歯が早く抜けてしまったことや乳歯の虫歯や外傷などさまざまな原因によって起こります。
とくに歯と骨が癒着している場合は、歯と顎の間に本来存在する歯周組織がない状態なので、歯が移動することなくとどまっていることが多いとされます。
埋伏歯の手術や矯正治療は保険適用になる?
埋伏歯の手術で保険適用になるケースは以下のようなものです。
- 前歯3本以上の永久歯萌出不全が原因で起こる咬合異常
永久歯萌出不全は大人になっても永久歯が生えない疾患のことで、永久歯が3本以上生えてこない場合の矯正治療であれば、埋伏歯の切開手術を含めて保険適用内での矯正治療が可能となります。
埋伏歯が3本未満の場合は保険適用外となりますが、埋伏歯の手術に関してはご自身で加入されている生命保険や医療保険の手術給付金が支払い対象となる場合もあるため、加入している保険会社に連絡してみましょう。
埋伏歯の治療方法
埋伏歯は、治療の際外科手術を行ってから矯正装置を装着して引っ張り出す治療がほとんどです。しかし、埋伏歯の生えている場所によって治療方法が異なるため、ここからは、埋伏歯の治療方法を詳しくご紹介します。
開窓術
乳歯の脱落がうまくいかずに埋伏歯となってしまっているケースでは、乳歯を抜歯することで埋伏歯が自然と生えてくるケースもあります。
しかし、乳歯の虫歯や外傷で早い段階から喪失してしまっている場合などは、歯肉が線維化して硬くなることで、永久歯が出てこられないという状態になっていることも。
その場合は開窓術によって歯肉を切開し、埋まっている永久歯の歯冠を見えるようにすることで、自然と生えてきてくれるのを待ちます。
犬歯の埋伏歯(牽引)
犬歯は糸切り歯とも呼ばれる歯で、永久歯の中でも最後のほうに生えてくる歯なので、歯が生えるスペースが不足していて生えてこないことがあります。
犬歯の埋伏歯に対しては、まず外科処置を行い歯の一部を出した後、正しい位置まで歯を引っ張り、移動させるために矯正装置を装着して治療を進めていきます。
親知らずの埋伏歯(抜歯)
歯が生えるスペースがないことから埋伏歯になりやすい親知らずは、前に倒れて埋伏歯が生えているようなケースでは、前方の歯を押してしまい歯並びに影響を与えてしまいます。
矯正治療をしたあとの後戻りの原因にもなりやすいため、抜歯によって治療することがほとんどです。
過剰歯の埋伏歯(抜歯・経過観察)
永久歯は親知らずを含めると、通常32本生えていますが、本来の本数以上に多くなっているのが過剰歯です。
過剰歯の埋伏歯は前歯の間に埋まっていることが多く、前歯に隙間を与えてしまうなど、歯並びに影響を及ぼします。
そのため、抜歯をすることがほとんどですが、歯並びへの影響がなければそのまま経過観察をすることもあります。
埋伏歯を牽引、抜歯したあとの処置
埋伏歯は埋まっている状態から開窓するだけで問題なく生えてくるケースもあれば、前述したように牽引して正しい位置に戻すこともあります。
埋伏歯を牽引や抜歯したあとは、歯を正しい位置に動かして、きちんと咬めるように矯正治療を行うことになります。
埋伏歯を放置するリスク
完全に埋伏していて痛みがなくても、埋伏歯の向きによっては歯列を押してしまったり、咬み合わせに影響を及ぼしたりすることがあります。
ここからは、埋伏歯を放置するリスクについてご紹介します。
咬み合わせに影響を及ぼす
埋伏歯が原因で周りの歯に力を与えてしまい、周りの歯が傾くことで隙間ができてしまうと、歯全体の咬み合わせが悪くなり、悪影響を及ぼしていると判断されます。
そのため、埋伏歯が原因で咬み合わせが悪くなっているケースでは、歯列矯正をはじめる前に埋伏歯を抜歯したり、牽引したりしてまずは整えることからはじめます。
炎症を繰り返してしまう
とくに半埋伏の状態の親知らずに多いのが、清掃が不十分なことによって虫歯や歯周病のリスクが高まることや、智歯周囲炎を引き起こしやすくなります。
智歯周囲炎は親知らずの周囲の歯茎に炎症が起こる病気ですが、治療をしても親知らずがそのまま生えていると炎症を繰り返してしまうため、最終的には抜歯をすることが必要となります。
他の歯や骨に影響を及ぼす
とくに埋伏過剰歯の場合は、もともと歯が生えるスペースがないことから、限られたスペースの中に無理やり生えてこようとしている状態といえます。
そのため、他の歯を圧迫して歯並びに影響を及ぼすことが多いです。
さらに、親知らずの埋伏歯は完全に埋まっている状態だと何も処置をしなくてもよいと考えられがちですが、実は歯茎の中で他の歯や骨を溶かしてしまうなどの悪影響を与えてしまうことがあります。
親知らずの埋伏歯は、他の歯や骨に悪影響を与える前に抜歯するという方法で対処することもあります。
埋伏歯を歯列内に誘導する方法
埋伏歯は以下のようにして歯列内に誘導します。
- 残っている乳歯を抜歯する
- 矯正装置で歯列を広げてスペースをつくる
- 埋伏している歯を覆う歯肉を切開する
- 埋伏している歯に装置を付けて歯列内に引き出す
開窓術を行っただけで歯が正しい位置にうまく生えることもあるのですが、歯の根が完成した後だと起こりにくいといわれています。
まずは歯列を広げてスペースを作っておくことで、埋伏歯が自然とそのスペースに収まるよう処置を行います。
それでも生えてこない場合は、矯正装置によって歯を牽引する必要があります。
歯にアタッチメントを装着し、ゴムのチェーンを付けて牽引するような形となります。
矯正装置を装着したら虫歯に注意
埋伏歯を牽引するために矯正装置を歯に装着することになりますが、その際注意しなければいけないのはブラッシングがしにくくなることです。
矯正装置がついていないときに比べると、装置の間に食べカスが溜まりやすくなり、歯ブラシだけのケアでは汚れや歯垢が取り切れないため、歯間ブラシを使用するなどしてしっかりケアする必要があります。
また、定期的に受ける歯科医院でのメンテナンス時に歯の状態もチェックしてもらい、しっかり磨けていない場合は歯ブラシ指導やクリーニングをしてもらうなどの対応をしましょう。
まとめ
埋伏歯の手術が保険適用になるか、治療方法、放置するリスクなどをご紹介しましたが、参考になりましたか?
埋伏歯の手術は保険適用になるには条件がありますが、ご自身が加入されている生命保険や医療保険の対象となることがあるため、保険会社に確認してみることをオススメします。
また、埋伏歯の治療は矯正治療の範疇として行われることが多く、牽引を行ったり抜歯を行ったりしたあとも歯列矯正が必要となるケースが多いです。
埋伏歯が気になるという方は、信頼できる矯正歯科で治療を行うことをオススメします。
当院には、日本矯正歯科学会認定医が在籍しており、一定の技術力をもった歯科医師が治療を担当させていただきます。
プライバシーも感染対策もしっかりとれる個室での対応となっておりますので、他の方の目を気にすることなく治療に専念できるとともに、安心できる時間を過ごしていただけます。
埋伏歯の治療をお考えの方は、お気軽に「千代田区の矯正歯科専門・末広町矯正歯科」までご連絡・ご相談ください。