マウスピース型矯正装置は、透明のマウスピースを歯に装着し、歯に適度な圧力をかけて少しずつ歯を動かしていく歯列矯正の方法です。1日に20時間以上の装着が推奨されており、食事と歯磨きの時間以外は基本的につけっぱなしになります。
しかも、矯正は数ヶ月から3年と長い期間かかる治療なので、マウスピースが口の中にある時間が非常に長くなります。そのため、矯正治療中に虫歯になりやすくなることを心配する声や、矯正治療中に虫歯になった場合のことを心配する声が聞かれるのも事実です。
実は、マウスピース矯正はいくつかある歯列矯正方法の中でも、虫歯になりにくい治療だといわれています。自分で簡単にマウスピースを外して歯磨きができるので、正しいお手入れをしていれば、虫歯になるリスクは比較的低いのです。
しかし言い方を変えると、正しいお手入れができていないと虫歯になる可能性もあるということになります。
そこでこの記事では、マウスピース型矯正中に虫歯になる原因と5つの予防法についてご紹介します。マウスピース型矯正装置で虫歯になってしまわないか心配な方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
マウスピース型矯正装置で虫歯になる原因
マウスピース矯正中は、虫歯になりやすくなるという噂を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。虫歯ができやすいことを自覚している方は、とくに気になるところでしょう。
実際のところ、マウスピース型矯正装置をすると虫歯になりやすくなるのでしょうか。
答えは「いいえ」です。マウスピース型矯正装置をしたからといって、必ず虫歯になりやすくなるということはありません。
ではなぜそのような噂が生まれたのでしょうか。ここでは、マウスピース矯正で虫歯になる原因についてご紹介します。
マウスピースを装着したまま食事をしている
そもそもマウスピースは、食事の際に外すというルールがあります。しかし、それを守らずにマウスピースを装着したまま食べてしまうと、虫歯や歯周病の原因になります。マウスピースと歯の間に食べカスが入り込み、プラーク(歯垢)を作る原因になるからです。
プラークとは、歯の表面に付着している細菌の塊です。粘着性が高くネバネバとしているため、付着してしまうと強くうがいをしてもなかなか取れません。
このプラークを長時間放置すると、中にいる細菌が作った酸によって歯の表面のエナメル質を溶かし、虫歯を発生させます。
食後の歯磨きを怠っている
マウスピース型矯正装置は、食後すみやかに歯磨きをして再度マウスピースを装着しなければいけません。
しかし食後の歯磨きを怠ってしまうと、歯に付着した食べカスや汚れまで一緒にマウスピースの中に閉じ込めることになるため、虫歯の原因になります。
マウスピースを装着していない場合であれば、食後に歯磨きができなくても唾液で少しずつ洗い流してくれますが、マウスピースに覆われたままの状態では食べカスが流れていかず、溜まったままになってしまいます。唾液の殺菌力や再石灰化作用が働きにくく、初期虫歯の修復もできないため、さらに虫歯になりやすい状態になってしまうのです。
また、色の濃い食事をとった際は、食後に歯磨きをしてもマウスピースに色がついてしまうこともあります。歯磨きをしていない状態では、さらに着色しやすくなってしまうでしょう。
マウスピースを清潔にしていない
マウスピースは、口の中にほとんど1日中ある状態です。清潔にしていないと、虫歯菌が増殖し、虫歯になるリスクを高めてしまいます。さらに、歯茎にもその炎症は広まり、腫れや出血などが起こりやすく、歯周病の原因になることも。
しかも、汚れたマウスピースはカビの一種やにおいの原因菌も繁殖しやすいため、口臭や他の病気の原因になる可能性もあります。
汚れたままのマウスピースを装着していると、歯が汚れているように見えるため、審美的な面からもよくありません。
マウスピース矯正で虫歯にならないための5つの予防法
マウスピース型矯正装置中に虫歯になってしまうと、虫歯の治療を優先しなければいけないため、治療が遅れてしまったり、マウスピースの作り直しが必要になったりします。
そのような事態は、歯列矯正の費用が追加でかかることに直結するので、通常より高額の治療費をかけて歯並びを治すことになります。
では、マウスピース型矯正装置で虫歯にならないためにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、5つの予防法をご紹介します。
食事の際は必ずマウスピースを外す
上述した通り、何か食べる際はマウスピースを外すのがルールです。虫歯を作らないようにするには、このルールを徹底的に守る必要があります。
とくに間食をする際は、いちいち取るのが面倒でマウスピースをつけたまま食べてしまいがちです。会社などで上司や同僚にお菓子をもらう機会が多い方は、マウスピースを外してから食べるか、後で食べるように残しておくのもよいでしょう。
マウスピース矯正をはじめた方の中には、マウスピースを外すのが面倒で間食をしなくなり、ダイエットになったという方もいます。
摂取する食べ物や飲み物を見なおす
マウスピース型矯正装置は基本的に、食べてはいけないものや飲んではいけないものはありません。普段通りに飲食ができることは、マウスピース矯正のメリットでもありますが、だからといって歯につきやすい食べ物ばかり食べていると、磨き残しがあった場合に虫歯のリスクが高まります。
マウスピース矯正中は摂取する食べ物に気をつけて、虫歯を予防しましょう。以下は、マウスピース矯正中に注意すべき食べ物や飲み物の例です。
- チョコレート
- キャラメル
- ジュース
- お酢
- ワイン
- コーヒー、お茶
虫歯菌は糖を栄養にして酸を作り出し、歯を溶かしていきます。できるだけ酸を出させないように、糖を摂らないようにすることが大切です。
食べ物に関してはイメージしやすいものも多いですが、飲み物はさらに注意が必要です。スポーツドリンクやフレーバーウォーターは、私たちが思っているよりも多くの砂糖が入っているのをご存知ですか?
着色しないようにと透明の飲み物選んだつもりでも、虫歯の原因になってしまいます。本来は水にしておくのがよいですが、甘い飲み物や色の濃い飲み物が飲みたいときはマウスピースを外して飲むようにしましょう。
歯磨きの際はフロスも併用
マウスピース矯正で虫歯にならないためには、歯磨きを丁寧に行うことが重要です。
しっかりと歯磨きをしたと思っていても、実は6割程度しか磨けていないといわれています。歯ブラシと併用して、デンタルフロスや歯間ブラシで歯と歯の間を綺麗にし、汚れを取ると虫歯を予防できます。
歯の磨き方に自信のない方は、歯科医師や歯科衛生士に相談すると、正しい歯磨きの方法を指導してもらえるのでぜひ利用しましょう。
歯科医院へ通う時間が取りにくい方は、市販の歯垢染色液を使用すると、歯垢のある部分が赤く染まって磨き残しがわかりやすくなるのでおすすめです。
マウスピースにフッ素ジェルを塗布する
マウスピース矯正は、1日のほとんどの時間をマウスピースのまま過ごすことになります。その時間を有効活用して、市販のフッ素ジェルで虫歯を予防するのもひとつの方法です。
マウスピースと歯の間にできるわずかな隙間を利用して、マウスピースの内側に少量のフッ素ジェルを塗ってからマウスピースを装着してみましょう。
マウスピースにフッ素を塗布することで、歯の表面に長時間フッ素をとどめられます。食事のたびに塗布するのが難しい場合は、寝る前の1回塗布だけでも構いませんので、ぜひやってみてください。
マウスピースの洗浄方法を見なおす
マウスピース矯正で虫歯にならないためには、装着するマウスピースを清潔に保つことが非常に大切です。
食事のたびに軽く水洗いをしてケースにしまっている方も多いですが、1日に1回はマウスピース専用の洗浄液につけたり、何もついていない歯ブラシで磨いたりするなどの方法でマウスピースをよく洗ってください。
マウスピースは短い頻度で交換するものです。そのため、マウスピースの洗浄についてあまり関心のない方もいます。友人との食事会などの際、不衛生なマウスピースではせっかく目立たない装置をつけているにもかかわらず、逆に目立ってしまいます。
できるだけ綺麗なマウスピースを使用するためにも、マウスピースをよく洗浄し、清潔にしておくようにしましょう。
まとめ
マウスピース矯正中に虫歯になる原因と5つの予防法についてご紹介しました。
マウスピース型矯正装置は、長い期間にわたってマウスピースを装着し続けなければいけません。そのため、マウスピースをはめている状態に慣れてしまい、外すのが面倒になることもあるでしょう。
しかし、そのまま食事をすることは虫歯のリスクを大幅に上げることになりますので、必ず取り外し、再度装着する前に歯磨きをするようにしましょう。
また、マウスピース自体のお手入れも大切です。ご紹介したように、マウスピースにひと手間加えるだけで虫歯を予防できる方法もありますので、ぜひ活用してください。
当院では、患者様の大切な歯を長持ちさせるために、一人ひとりに最適の治療法をご提案しています。歯並びを整えることは、虫歯や歯周病の予防にもなりますので、おすすめです。
当院から歩いて5分のところにある「秋葉原総合歯科クリニック(本院)」と連携し、虫歯治療も行っていきますので、効率よく治療を行えます。
マウスピース型矯正装置を検討されている方は、
ぜひ1度千代田区の矯正歯科専門・「末広町矯正歯科」までお気軽にお問い合わせください。